安倍晋三・王毅他『日中対話』(言論NPO、2006年)を読み終える。
第2回「北京・東京フォーラム」(06年8月3・4日)での11名の発言の記録である。
同フォーラムは、「反日デモ」が活性化した05年夏に発足したものだという。
中川秀直氏(当時・自民党政調会長)は、「政府の役割の第一は、大交流時代の企業にとって最大のリスクはナショナリズムなど政治リスクであり、そうしたリスクから彼らの活動を遮断すること、すなわち政経分離の原則をしっかり守ることであろう」(15ページ)と述べている。
政治の対立がどうであれ、企業のもうけは自由でなければならないというわけである。
また、安倍晋三氏(当時・内閣官房長官)は「中国の関係者が頻繁に口にする『日本の軍国主義復活』などは、ほとんど全ての日本人の想像の域を超える、ありえない話」(7ページ)だと述べている。
だが、武器輸出の自由に向けた軍需産業の動き、「米軍再編」への協力と日米の軍事一体化、大東亜戦争の肯定と憲法9条の「改正」の推進……。
「ほとんど全ての日本人の想像の域を超える」現実を、実際につくりだそうとしているのは誰なのか。
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