国民会議派政権内部の足並みの乱れから、発効「先延ばし」が決められていた協定だが、さらに「凍結」の声がインド国内で強まっている。
問題の中心は、民生用原子力施設に、アメリカが核燃料や技術を供給することに対する反発である。
米印原子力協定が難航 インド国内で凍結要求高まる(朝日新聞、10月22日)
インドと米国との民生用原子力協定の実施が、難しい状況になってきた。インドで、国民会議派が率いる連立政権に閣外協力をする左翼4党が協定に反対。政権の不安定化を嫌う政権内の各党からも、実施凍結を求める声が高まっている。左翼政党は22日、連立与党に対して「凍結」を表明するよう求めたが、結論は11月16日の次回協議まで先送りとなった。
米印両国は昨年3月、インドが原子力施設を民生用と軍事用に分け、民生用の原子力施設について国際原子力機関(IAEA)の査察を受ける見返りに、米国が核燃料や技術を供給することで合意。今年7月に協定がまとまった。
だが、反米姿勢が強い左派共産党など4党が8月、「米国との戦略関係強化は危険」と閣外協力解消を示唆して反対。4党抜きの連立与党だけでは下院で過半数に届かないため、「09年5月の任期満了前に解散・総選挙に追い込まれる」との観測が浮上した。今月に入ってからは、国民会議派以外の与党各党からも協定実施の凍結を求める声が相次いだ。
米印両国は協定実施のための手続きとして、(1)インドが10月中にIAEAと査察協定を締結(2)11月に原子力供給国グループ(日本など45カ国で構成)がインドに対する輸出規制を撤廃(3)08年前半に米印協定を米議会で可決、という日程を想定していた。だが、この日程通りに進まないことが確実となり、ブッシュ政権下での実施は微妙とみられている。
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