福田内閣による新テロ特措法は、イラク戦争に参加する米艦への給油を排除せず、しかも国会承認も必要としない。
新しい国会の力関係のもとで、アメリカの戦争への物的支援は、なんとしてもこれは貫きたいという構えらしい。
そして訪米時には、アメリカに対して「がんばっている自民党」の姿を見せたいということらしい。
報復戦争支援へ新法案 福田内閣が提出 国会承認は削除(しんぶん赤旗、10月18日)
政府は十七日の臨時閣議で、海上自衛隊のインド洋派兵を継続するための新テロ特措法案を決定し、国会に提出しました。現行テロ特措法と比べて若干の手直しをしていますが、米国の対テロ報復戦争を支援する法律という基本性格は変わりません。政府・与党は今週中にも審議入りし、臨時国会中の成立を狙っています。
同法案は、二〇〇一年以降の海自部隊派兵の根拠法となっている現行法に代わるもの。現行法と同じく一年間の時限立法ですが、法「改正」によって一年間の延長も可能な仕組みです。
自衛隊の活動について新法案は、テロリストや武器などの移動を海上で阻止するための「海上阻止活動」に従事する米軍艦などへの給油・給水に限定するとしています。
しかし、この「海上阻止活動」が、米軍主導の「対テロ報復戦争」(米軍作戦名「不朽の自由作戦」)の一環であることは変わりません。しかも、インド洋で活動する米軍は、「不朽の自由作戦」、イラク作戦、海上阻止活動の三つの任務を一体として展開しており、海上阻止活動だけへの給油支援は不可能になっているのが実態です。
米軍の補給艦に給油した油がイラク作戦に転用された問題が国会でも厳しく追及されたため、新法案作成過程では政府・与党内でこの中止も検討されましたが、最終的には、規定は盛り込まれませんでした。
現行法に盛り込まれている国会承認規定は削除されました。同規定があれば、派兵に反対する野党が多数を占める参院で否決され、派兵継続ができなくなるため、それを避けるのが狙いです。
政府・与党は、新法案が参院で否決したり、六十日以内に議決しない場合、衆院で三分の二以上の賛成で再議決すれば成立となる憲法の規定の発動もにらんでいます。
ただ、再議決による世論の反発は避けられず、「世論の動向がすべてを決する」(与党検討チームの山崎拓座長・自民党前副総裁)として、世論対策に躍起です。
新テロ特措法案の概要
●目的
海上阻止活動への補給支援により、国際的なテロリズムの防止・根絶のための国際社会の取り組みに引き続き寄与する
●実施する活動
補給支援活動
(海上阻止活動に従事する他国艦船に対する給油・給水)
●実施計画
基本方針、実施区域、自衛隊の規模、装備、期間などを定めた実施計画を閣議で決める
●国会の関与
・現行法の国会承認規定は削除
・実施計画の決定・変更があった場合、国会に報告する
●期限
施行から1年で失効。ただし1年以内の期間を定めて延長可能
コメント