またしても企業誘致の策である。
県内の企業進出地域に偏りがあるとのことで、但馬、丹波、淡路では、補助金支給の対象を設備投資「10億円以上」、地元での新規雇用「6人以上」に引き下げるという。
そして県の予算案をみると、雇用への補助金は全県的には1人あたり30万円だが、これらの地域では60万円に引き上げられるとする。
08年度予算案には、これを含む全県向けの「新事業・雇用創出型産業集積促進補助の実施」に、25億1723万3000円が計上されている。
「企業が潤えば市民が潤う」というトリクルダウン政策の破綻は、すでに全国的にも明白なことである。
貧困を拡大する「構造改革」と、無駄な大型開発に固執する兵庫県の政治は、本当に時代遅れてである。
企業誘致支援 但馬、丹波、淡路に手厚く 兵庫県(神戸新聞、3月1日)
兵庫県は二〇〇八年度から但馬、丹波、淡路の三地域を企業誘致の「優先地区」に位置付け、全県一律だった優遇策を転換する。大型の設備投資に活気づく都市臨海部に比べ、三地域の工業団地は空き地が目立つためで、補助金の支給条件を緩和するほか、Uターン就職の支援などで地域間格差の解消を目指す。
県は〇二年度に企業への補助金支給や不動産取得税の軽減を盛り込んだ「産業集積条例」を制定。これまでに県内五十一カ所の条例適用地区に六十九社が進出した。姫路市に建設が決まった松下電器産業の液晶テレビ用パネル工場の用地も条例適用地区だ。
〇八年度は、優先地区の三地域に限って補助金の支給条件を緩和。設備投資額を「五十億円以上」から「十億円以上」にするほか、地元での新規雇用を「十一人以上」から「六人以上」にする。
また、働き手の確保を心配する企業が多いため、三地域の県民局に「地域人材確保協議会」を設置。地域外の地元出身者への就職情報の提供や高校生対象の企業説明会を開き、Uターンや若者の雇用を側面支援する。予算案に約二十五億円を計上した。
ここ数年、県内への企業進出は活発化。〇六年には全国一位の百十五件に上った。うち神戸が前年比十八件増の三十一件、阪神南部は同十七件増の二十件と都市部で増加。半面、丹波や但馬、淡路は低調で、一-四件にとどまっている。
県企業立地課は「大企業を想定していた優遇策を中小企業が使いやすいようにした。設備投資意欲が高いこの時期を逃さず、企業にPRする」としている。(小林由佳)
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