アナン事務総長のはたらきかけにもかかわらず,靖国問題での小泉首相の態度に変化はなく,局面打開への「工夫」はあいかわらず周辺部からだけらしい。
総裁選に「国民的関心」を集めるための自民党全国ブロック大会が決まったようだが,それは靖国問題への「関心」を高めることともなる。それ自体は大変に結構。
ただし,下の古賀派の議論は,問題を「A級戦犯合祀」に矮小化するもの。
一般市民の被害者をあえて除き,「聖戦」に奉仕して戦死した者のみを合祀し,これを顕彰するという靖国の思想と歴史観それ自体が問題のはず。
あまりに姑息にすぎはしないか。
「「アナン国連総長、靖国問題に懸念「緊張増している」
来日中のアナン国連事務総長は18日、都内で記者会見し、小泉首相の靖国神社参拝問題について、「日本の安保理常任理事国入り問題(に影響している)だけでなく、(日中・日韓間の)緊張を増してしまっている」と懸念を示した。
事務総長は「隣国同士にはそれぞれの考え、立場がある」と首相の靖国参拝に一定の理解を示しながらも、「域内の国々は互いに相手を理解しており、何が相手を挑発しているのかわかるはず。各国首脳が寛大なジェスチャーを示す必要がある」と、当事者同士の歩み寄りによる解決を促した。
事務総長は訪韓後の16日に来日。小泉首相や安倍官房長官らと会談し、国連改革やアジア情勢について話し合った。19日に日本を離れ、中国を訪問する予定。 (読売新聞) - 5月19日0時27分更新」
「古賀誠氏 対中関係改善を争点化 A級戦犯分祀検討を提言
自民党丹羽・古賀派の代表を務める古賀誠元幹事長は18日、派閥の政策勉強会で、9月の総裁選に向けた政策提言の私案を公表した。日中関係改善のため「靖国神社参拝問題について国民的議論が必要」と指摘し、同神社に合祀(ごうし)されたA級戦犯の分祀(ぶんし)も「検討の対象」と提案した。
古賀氏は日本遺族会会長を務め、首相に靖国参拝を求める立場だが「遺族会の中にA級戦犯が合祀されていると参拝しにくいとの声もある」と指摘。私案では、近隣諸国との歴史共同研究の必要性にも触れている。日中・日韓関係の修復を総裁選の争点にする狙いがあるとみられ、アジア外交をめぐる党内の綱引きは一段と活発化しそうだ。
同派の議員はおおむね賛同する姿勢を示しており、6月中にまとめる派閥の政策提言に盛り込まれる方向。ただ、一部からは「宗教法人である靖国神社の問題なので、政治が口を挟むのは難しいのではないか」「どうやって分祀するのか」といった意見も出た。
これに対し、ポスト小泉の有力候補とされる安倍晋三官房長官は18日の記者会見で、分祀について「信教の自由に基づいて靖国神社が自主的に判断する問題」と指摘。「この問題を総裁選で議論すれば、さらに政治、外交問題化することにつながり、そうすべきではない」とけん制した。
小泉純一郎首相も同日、記者団に「政府が関与する立場にはない」と述べた。 =2006/05/19付 西日本新聞朝刊= (西日本新聞) - 5月19日10時1分更新」
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