テキストに入る。まず奥付を確認。著者は長年にわたり日本経済分析をつづけた専門家である。
「まえがき」を読む。経済を分析するときに、根本にすえるべきは「人々の暮らし」がどうなっているか。「構造改革」論議は、そこから目線を遠ざけてきた。
第1章「景気と暮らし」に入る。
世界同時不況以後の日本経済の急速悪化は明白だが、政府は08年2月まで景気の「回復」をいいつづけてきた。
しかし、その実態は名目で年率0.8%の超低成長。くわえてこれを支えた需要の65%は輸出であった輸出依存。それは「構造改革」の成功がもたらした成長などではない。
あわせて「人々の暮らし」に視線を移せば、賃金は下がり、低収入者が増え、雇用は非正規拡大で不安定化し、貯金ゼロ世帯や生活保護世帯が増加している。その一方で企業収益は伸びてきた。
過去の景気「回復」局面と今回の「回復」局面の大きな違いは、企業収益の伸びが最大の内需部門である民間消費需要(個人消費)の拡大につながらないこと。
じつは、その関係を断ち切ることで、個人消費の破壊の上に、大企業の収益だけを伸ばす仕組みをつくったのが「構造改革」。しかし、それは、内需を萎縮させ、大企業や国民経済にも大きな困難を生み出した。
いかにして個人消費を再建し、拡大していくか。そのことの達成なしに、当面の景気回復はありえない。
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