1)偶然手にした週間『東洋経済』に,田中均(前外務審議官)・寺島実郎(日本総合研究所会長)・白石隆(政策研究大学院大学副学長)氏の対談「日本を,自信を胸に『東アジア共同体』へ進め」があった。5回連載の最終回とある。以下,メモ。
2)〔田中均〕-①東アジアは日本のマーケット,投資先,労働力の供給源(124ページ),②日中関係悪化の引き金は靖国だが,根本には構造的な変化がある,中国は経済的にも政治的にも成長し,日本には「突然中国が大きく見え出した」,経世会(旧竹下派)主流の日中関係のパイプもなくなった,日・米・豪・インドの協力で中国をルールの枠内に(126ページ),③日中間には大きな合意が必要,それなしに靖国をやめれば中国に屈した印象になり,国内も収まらない(129ページ),④日本の能力を見直し,自虐的な部分をすてるべき,東アジアでは個別の機能協力をつみあげるべき(130,131ページ)。
3)〔寺島実郎〕-①東アジアの域内貿易比率は6割に近く,日本の貿易構造もアジア依存を深めている(124ページ),②アメリカはアジアでの影響力最大化をつねに考えており,東アジアは機能的協力を積み上げるべき,05年4月に中国の反日デモがあったが,5月のASEAN+3の財務大臣会議(トルコ・イスタンブール)ではチェンマイ・イニシアチブ充実のため通貨交換協定の枠を400億ドルから800億ドルに変更している,そういう合意は進んでいる,アジア投資基金構想も現実化しつつあり,外貨準備は中国8700億ドル,日本8500億ドル,韓国も含めて2兆ドル近く,一部でも通貨危機回避の共通利益に使えれば,「アジアの資金が米国ばかりに流入する構図がずっと続いたことについて,われわれの構想力不足を反省すべきだ」(126~7ページ),③中国に緊張感をもって向き合うとともに,日米関係もアジアから見て合理性のあるものに,「日米同盟を永遠の基軸として『中国台頭の脅威に対して,日米同盟で向き合おう』などという発想は今の世界の潮流から相当ずれている」,④東アジアには個別課題ごとの協力の積み上げが必要,エネルギーと環境が当面重要(131ページ)。
4)〔白石隆〕-①04年東京で結婚した7組のうち1組が国際結婚,うち7割はアジア人との結婚,日本は社会そのものがアジアに埋め込まれつつある(125ページ),②日米同盟と東アジア共同体構築をどう使って中国への関与と抑止の仕組みをつくるかが課題(127ページ)。
5)〔資料〕-①域内貿易比率,03年でASEAN+3(香港・台湾を含む)で54%,拡大EU67%,NAFTA45%,②日本の貿易構造,05年総額122.6兆円(輸出入合計),中国・香港・マカオ・台湾25.9%,ASEAN13.3%,韓国6.4%,オーストラリア・ニュージーランド3.7%,インド0.6%で49.9%,北米19.4%,欧州・ロシア15.4%,中東9.4%,③外貨準備高,中国8751億ドル(06年3月末),日本8520.3億ドル(06年3月末),アメリカ653.6億ドル(06年2月末)
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