「安倍官房長官、歴史認識『村山談話の精神引き継ぐ』」(日経新聞)。
「安倍晋三官房長官は7日の記者会見で、歴史認識に関する1995年の村山富市首相談話については『政府として出した談話で、基本的にはその精神を引き継いでいく』と表明した。同時に『政権ができる時にそういう認識をさらに示す必要があるのかという気がする』と述べ、首相に就任した場合に自らの歴史認識を談話の形で示す考えはないことも強調した」。
「安倍氏は『先の大戦で多くの国々に大きな被害を与え、傷跡を残したことに対する率直な反省の中で平和で民主的な国をつくってきた』と指摘。そのうえで『戦争の歴史的な評価や原因については歴史家に任せるべきではないか』と語った」。
「被害を与え」「反省の中で」の箇所と,「戦争の歴史的な評価…は歴史家に」はどのように両立するのだろう?
さらにこの「戦争の歴史的な評価…」発言は,そもそも村山談話とどのように両立するのだろう?
「村山内閣総理大臣談話『戦後50周年の終戦記念日にあたって』(いわゆる村山談話)」には,次の文章がある(特に関連箇所にアンダーラインをつけておく)。
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます」。
安倍氏による,①かつての戦争を侵略戦争と認めないままで,②なんとかアジア外交の修復に道をひらこうとする基本路線の破綻が,この人をどこまでも深い矛盾の溝に落としこんでいる。
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