一方に「新植民地主義」との批判があり,他方に貧困克服への援助とある。
真実がいずれに近いかについては,今後の実際を見る必要があるということか。
「中国・アフリカがサミット 北京に48カ国首脳集結」(朝日新聞,11月3日)。
「中国とアフリカ48カ国の首脳らが集まる「中国・アフリカ協力フォーラム北京サミット」が4、5の両日、北京で初めて開かれる。かつては台湾に代わって国連での代表権を得るための支持集めという色彩が濃かった中国の対アフリカ外交だが、近年は資源獲得を視野に入れた経済関係の構築へと拡大。相手国に人権問題などを問わない「中国式接近」で欧米などから批判も浴びる中、サミットはアフリカでの中国の存在感を見せつける形になりそうだ。
北京空港から天安門広場へ続く主要道路沿いに赤いちょうちんが連なり、ゾウやキリンを描いたポスターが街にあふれる。握りあう褐色と黄色い手を描いた看板には「友情、平和、協力、発展」のキャッチフレーズ。今回訪中する関係者の数は合計3500人にものぼる。
フォーラムは00年に閣僚級で始まった。3回目を迎えた今年、中国とアフリカとの国交樹立50年を記念して首脳陣を招いたサミットへと発展。「新しい戦略パートナー関係を打ち立てる」(唐家セン国務委員)として、今後3年間の中国からの援助など、広範囲な協力の拡大を促す「北京宣言」を採択する。48カ国のうち41カ国は国家元首、首相が出席。個別の首脳会談も多く、エネルギー、インフラ設備、金融分野での具体的な契約や商談会も開かれ、会議の数は60を超える。
●「新植民地主義」と批判も
北京の外交筋は「中国にとってアフリカの重要性は第一に台湾問題、第二に資源獲得、第三に国連での大票田」とみる。
アフリカ53カ国のうち中国は48カ国と国交を持つ。対アフリカ接近は90年代半ば以降に勢いを増した。経済成長に伴う資源確保が狙いだ。今年1月に発表した対アフリカ政策文書では、「政治的条件をつけずに援助を続ける」ことを柱の一つに掲げた。
例えば長く内戦が続いた産油国アンゴラ。日米欧は復興に向けた支援国会議を立ち上げ、透明度の高い援助をしようとしたが、アンゴラは「自由度の高さから中国の援助を選んだ」(アフリカの外交筋)。「世界最悪の人道危機」とも言われるダルフール紛争を抱えるスーダンでは、大型油田開発に携わる中国が、国連が検討した対スーダン制裁措置に一貫して反対している。
一方、中国企業の進出に反感を抱く現地の民衆もいる。ザンビアで9月に実施された大統領選では、対中政策が争点の一つになった。中国の投資で潤う「政権」与党と搾取される「労働者」側の野党という構図で、それぞれに中国、台湾が選挙資金を提供している、ともうわさされた。
また、先進国が債務減免を迫られた産油国ナイジェリアに、中国は協調せずに融資を続けて油田の採掘権を獲得。このため、ナイジェリアが中国の融資の返済には応じる可能性が浮上し、世界銀行総会でも批判が噴出した。中国は「尊重しあって成長しているのに何を批判されるのか理解できない」(劉建超・外務省報道局長)と反論した。
ただ、中国からの投資や貿易がアフリカ全体の経済成長を押し上げているのは間違いない。04年まで10年のアフリカの平均成長率は世界平均を上回る約4%を記録した。
中国の活発な動きが資源価格を引き上げ、他国からの投資も刺激する。
日本でも、現在は中国の半数ほどしかないアフリカの在外公館を増設すべきだとの意見が増えた」。
「世銀総裁「アフリカ諸国の発展には中国の経験必要」(人民日報日本語版,11月2日)。
「世界銀行のポール・ウォルフォウィッツ総裁は1日、英フィナンシャル・タイムズ紙に送った書簡の中で「過去25年の間に中国の3億人が貧困から脱出した。中国人が才能と智恵と実務に励む態度で道を切り開いたことは、サハラ砂漠以南で貧困からの脱出を求めている6億人のアフリカ人に貴重な経験を提供している」と述べた。
ウォルフォウィッツ総裁は、10月24日に同紙上で不適切な報道があったことを受けて書簡を送ったという。さらに、「世界銀行グループと中国を含む主要援助国は共通の目的をもってアフリカ諸国を支援し、貧しい人々のためのチャンスを作り出している。この分野での努力で、中国は貴重な経験と関連資源の提供国として、役割は日増しに重要となり、ますます歓迎されている」とした。
ウォルフォウィッツ総裁は10月26日の中国記者の共同インタビューで、まもなく開催される「中国・アフリカ協力フォーラム北京サミット」について、「すばらしい考えだ」と述べ、「過去25年間で、中国の発展問題における成功の経験はアフリカ諸国の貧困からの脱出を励まし促すこととなる。世界銀行は中国との協力を強化し、アフリカ地域の発展を促していく。双方には対話と協調を高めてもらいたい」と語った」。(編集IA)
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