国家による謝罪や賠償を,民間からの「償い金」にすりかえたアジア国民基金だが,結局,これを推進した当事者によっても,かんばしい総括はできない結果となったようだ。
「アジア女性基金が「最後のシンポジウム」 課題あげる」(朝日新聞,11月19日)
「07年3月に解散する「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金、理事長・村山富市元首相)は19日、95年の設立から12年間の活動を総括する「最後のシンポジウム」を東京都内で開いた。
専務理事の和田春樹東大名誉教授はフィリピン、韓国、台湾の元慰安婦285人に「償い金」や首相のおわびの手紙が送られたと説明したうえで「韓国と台湾では過半が受け取らなかった。インドネシアでは個人への償いは行われなかった。中国や北朝鮮へも事業はできず、政府の対処は未解決部分を残した」と課題をあげた。」
「募金、目標に届かず5億6500万円 アジア女性基金 (産経新聞,11月19日)
「「アジア女性基金国際シンポジウムFINAL」が19日、都内で開かれ、「元慰安婦」に対する募金を行い来春解散する「女性のためのアジア平和国民基金」の活動を総括した。基金の理事長、村山富市元首相は「基金と政府の呼びかけに国民が応え、真剣な気持ちで寄付していただいた」と意義を強調したが、当初の目標額に届かず、民間募金を償い金として渡す手法に元慰安婦らが反発するケースも目立った。
当初の目標額は10億円で、村山氏が15万円を拠出するなど政府は宣伝に努めたものの、最終的に集まったのは約5億6500万円。フィリピン、韓国、台湾などの計285人に償い金が渡された。償い金は各国の政府や関係団体が認定した元慰安婦に拠出され、基金側は認定作業に携わらなかった。
日本政府に謝罪と国家賠償を求め受け取りを拒否するケースも多く、平成14年には韓国や日本のNGO(非政府組織)が、基金事業の停止を求め抗議声明を出した。
基金は平成5年、河野洋平官房長官(当時)が、第二次大戦中の慰安婦募集で官憲による強制連行の事実があったことを公式に認めたことを受け、7年に自民、社会、さきがけ三党連立の村山政権下で発足した。昨年1月、元慰安婦への拠出が完了したことや、来年3月にインドネシアの高齢者支援施設資金援助における「償い事業」が終了するのを機に、基金の解散を決定した。」
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