「偽装請負」を国会でも批判されたキャノン(日本経団連会長企業)が,非正規雇用から正規雇用への転換ルートをつくるという。
とはいえ,その数は,全派遣13000人中,1000人程度のようである。
技術の伝承に必要だからというのが,公的説明だが,正社員と同様の仕事をしていれば,待遇もまた正社員に等しくするというのが原則ではないのか。
依然として,キャノンにとってのご都合主義はつづいている。
キヤノン3500人直接雇用 派遣、請負労働者が対象 07、08年度計画(西日本新聞,3月26日)
キヤノンは25日、国内のグループ企業19社の製造部門で働く派遣労働者や請負労働者のうち計3500人を、2007、08年度の2年間に正社員などとして直接雇用する方針を明らかにした。
請負労働者を正社員の指揮下で働かせる「偽装請負」があったとして、同社は03年から05年にかけて労働局から計7件指導を受けており、受け入れ期間が長期化した派遣社員の正社員化などと併せ、改善を図る。
キヤノンはグループの製造部門で、この2年間に新卒の定期採用などを含め計5000人を直接雇用する計画。このうち1000人は、現在、派遣労働者や請負労働者として間接雇用している従業員を正社員として中途採用、2500人を契約期間3年未満の期間社員として採用する方針だ。
キヤノングループの製造部門の従業員は現在、7割以上が間接雇用。偽装請負の指摘を受け昨年8月、内田恒二社長をトップとする外部要員管理適正化委員会を設置し、対応策を検討していた。
偽装請負は製造現場にとどまらず、公立の保育所や学校における保育士、外国人講師の雇用にも問題のあるケースが発覚。国会でもキヤノンのケースが取り上げられ、民主党などが衆院予算委員会に同社会長の御手洗冨士夫日本経団連会長を参考人招致するよう求めたが、自民党側は受け入れていない。
キヤノン、非正規雇用者から千人を正社員に登用(朝日新聞,3月26日)
キヤノンは、グループ各社の工場で働く非正規雇用の労働者のうち1000人を08年末までに正社員に登用する方針を明らかにした。正社員化は段階的に行い、まず派遣社員を期間工として雇用し、この中から試験に合格した人を正社員として採用する。この方針は、27日に各工場の責任者を集めて説明する。
キヤノンは昨夏、実態は派遣なのに形式的に請負を装う違法な「偽装請負」が表面化。これをきっかけに派遣や請負の労働者から数百人を正社員にする方針を明らかにした。
ところが、今年2月、人事本部長が朝日新聞の取材にこれを先送りする意向を表明。今国会ではキヤノンの偽装請負に批判が集中した。今回の方針表明は、そうした批判に配慮した格好だ。
キヤノンのグループ各社の国内工場で働く派遣・請負労働者は昨年暮れ時点で2万人余。このうち、主に派遣労働者(1万3000人)から08年末までに期間工として2500人、正社員として1000人を直接雇用する。これ以後も正社員の登用を進め、職場における正社員の比率を高める。同社の期間工は最長2年11カ月の期間限定社員をいう。
キヤノン広報部は「技術を伝承し、品質を維持するためには、製造部門の中核を担う正社員がもっと多く必要だと判断した」と話している。
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