財務省と内閣府が発表した景況判断である。
全体は「好調さ持続」というのが財務省の理解のようだが,国内の景況感は,大企業のプラス13.4に対して,中小企業はマイナス9.8である。
この格差に意図して目をつぶるところに「構造改革」視角の本質が見える。
景況感は悪化、07年度設備投資計画は順調=法人企業景気予測調査(朝日新聞,3月22日)
[東京 22日 ロイター] 財務省と内閣府が発表した1―3月期法人企業景気予測調査によると、自社の景況が前期比で「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた景況判断指数(BSI)は、大企業全産業で現状判断がプラス6.2となり、昨年10―12月のプラス6.4から悪化した。昨年10―12月期調査時点の1―3月期見通しプラス7.8も下回った。
中堅企業は「下降超」に転じたほか、中小企業も大幅に「下降超」幅が拡大した。
ただ、先行きは軒並み改善を見通しているうえ、2007年度設備投資計画等は順調なことから、財務省幹部は「企業部門の好調さ持続は変わっていない。特に、今までの傾向と相反する結果ではない」としている。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員の鹿野達史氏は「在庫調整などに伴う一時的な生産落ち込みを反映した内容といえる」と分析。4月2日に公表される日銀短観については「先日発表されたロイター短観を含めて考えた場合、3月日銀短観は、大企業製造業の景況判断DIが市場予想通りに弱含みの内容になるのではないか」との見通しを示している。
日銀短観は景況感のレベルを聞いているのに対し、法人企業景気予測調査は、方向性・変化を聞いている点に違いがある。
現状判断が悪化した理由について、財務省では、暖冬により飲食や宿泊、運輸などに悪影響が出ていると推測できると説明。また、調査時点は2月25日になっているものの、その後回収した調査票も多く、2月下旬からの株安もマインド面に影響している可能性があるという。
今回初めて調査対象となった2007年度設備投資計画は、全産業ベースで前年比5.3%減の見通しとなった。ただ、翌年度の計画が固まっていない段階であり「今後上方改定されていく」(財務省幹部)のが通例。1―3月期時点では、2005年度、2006年度計画のスタートをわずかに上回っており、設備投資の強さを確認するものとなった。
2006年度は前年比8.1%増の見通しとなっている。
07年度売上高は全産業ベースで1.4%増収、経常利益は6.2%増益と、企業の事業計画は引き続き好調さを示している。
国内の景況感(全産業)は、全産業ベースで大企業はプラス13.4、中堅企業はプラス6.6、中小企業がマイナス9.8。
従業員判断はすべての規模の企業で不足傾向を示し、大企業全産業はプラス18.6となった。
法人企業景気予測調査は、財務省の景気予測調査と内閣府の法人企業動向調査を統合し2004年4―6月期から新たに実施した。四半期ごとに調査を行う。今回の調査時点は2月25日。
今後の公表予定は、07年4―6月分が6月20日、7―9月分が9月下旬。
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