日米首脳会談に先立つ、アメリカでの、安倍氏の「慰安婦」関係の発言をめぐる記事である。
キャンベル元国防次官補の発言が面白い。
アメリカは日本から中国へと外交の緊密化の重点を移しており、また安倍「慰安婦」発言は、日米関係を支持する者さえ遠ざけたと。
他方、安倍氏は決議があげられようとしている下院の議長等の前で、元「慰安婦」に「同情」「申し訳ない」と述べたが、「狭義の強制性」発言については、真意が「伝わっていない」として、ここでも撤回はしなかった。
その場では、「慰安婦」問題については、日系のイノウエ議員が日本政府を弁護する立場から発言をしたのみだという。
なお、このイノウエ議員は、上院議員でありながら下院議員に向かって、しかも日本政府によるロビイングの内容にきわめて近い内容で、決議を採択するなという異例のはたらきかけをした人物だという。
一方、下院で決議案を提出したホンダ議員は、安倍氏のこの口頭での謝罪を「被害者にとっては曖昧」と一蹴している。
ホワイトハウス前では、安倍氏の「慰安婦」発言に抗議し、誠意ある謝罪を求めるデモ隊が70人ほど(新聞によっては50人)集まった。
これには、韓国からかけつけた李容洙(イ・ヨンス)さんもふくまれる。
昨年夏に、学生たちが「水曜集会」で抱き合ったハルモニである。
日米首脳、信頼構築は困難=北の核や慰安婦問題が影響-元米高官(時事通信,4月27日)
【ニューヨーク26日時事】クリントン前米政権で対日政策を担当したキャンベル元国防副次官補は26日、ニューヨーク市内で開かれた時事トップセミナー(時事通信社主催)で講演し、安倍晋三首相が日米首脳会談で小泉純一郎前首相と同じような強い個人的信頼関係をブッシュ大統領との間に築くのは「困難だろう」との見方を示した。
キャンベル氏はこの中で、ブッシュ政権は北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で柔軟姿勢に転じ、「日本との強固な協調から、(同協議の議長国である)中国とのより密接な関係」に外交の軸足を移したと指摘。このため、安倍首相は「米国が寝返ったか、日本の利益を軽視していると怒っている」と述べた。
さらに、従軍慰安婦に関する安倍首相の発言は「日米関係を支持する人々の耳にすらまずく響いた」と語り、慰安婦問題や北の核問題などの一連の要素が「今回の首脳会談を困難なものにしている」との見解を表明した。
元慰安婦への同情とおわび表明=安倍首相、米議会指導者と会談(時事通信,4月27日)
【ワシントン26日時事】訪米中の安倍晋三首相は26日昼(日本時間27日未明)、米議会議事堂でぺロシ下院議長(民主党)ら与野党の議会指導者と会談した。首相は冒頭発言で自ら従軍慰安婦問題を取り上げ、「辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、個人として首相として心から同情するとともに、極めて苦しい状況に置かれたことに申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」とおわびを表明した。
米下院の慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案は、5月にも採決される見通し。首相はおわびの意思を明確に示すことで、議会側に理解を求めた格好だ。慰安婦連行の「狭義の強制性」を否定した自らの発言については、「真意が正しく伝わっていないと思われる」と指摘した。
『申し訳なさでいっぱい』慰安婦問題 首相、米議会指導部に(東京新聞,4月27日)
【ワシントン=金井辰樹】安倍晋三首相は二十六日午前(日本時間二十七日未明)、ワシントンの米連邦議会議事堂で、ペロシ下院議長(民主党)、マコネル上院院内総務(共和党)ら上下両院指導部と会談した。
首相は従軍慰安婦問題について「私の真意や発言が正しく伝わっていないと思われるが、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、個人として、また首相として心から同情するとともに、苦しい状況に置かれたことについて申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と述べた。米下院が、この問題で日本政府の謝罪を求める決議案を審議しているのを念頭に、事態の沈静化を図ったものとみられる。
この後、日系のイノウエ上院議員(民主党・ハワイ州)が「慰安婦問題をめぐる米国内の動きは残念だ。これまで七人の日本の首相が謝罪をしているにもかかわらず、こういうことが今後も続くのかと思うと疑問に感じる」と述べた。ほかの議員からは慰安婦問題について発言はなかった。
日系米上院議員が慰安婦決議案阻止要求の書簡(中央日報,4月27日)
第2次世界大戦当時の日本軍による従軍慰安婦強制動員に関連し、日本政府の公式謝罪を要求する決議案が米下院外交委員会で審議されている中、日系元老上院議員が下院議員らに書簡を送り、決議案処理の自制を要求したことが確認された。
米議会に精通する消息筋は26日、聯合ニュースの記者と会い、「民主党所属のダニエル・イノウエ上院議員(ハワイ州)が、従軍慰安婦決議案を審議・処理する下院外交委のトム・ラントス委員長とアニー・ファレオマバエガ・アジア太平洋地球環境小委員会長、決議案を出したマイケル・ホンダ議員に最近、書簡を送った」と話した。
1962年に上院議員になって以来8回当選(45年間連続)のイノウエ議員は、米上院3選議員で、議会内では「日系政治家の代父」として通じるほど強大な影響力を持つ議員。
この消息筋は、「イノウエ議員は書簡で『日本政府はすでに慰安婦問題について何度も謝罪しているし、慰安婦決議案が日米関係を損つける恐れもある』とし、議員に慰安婦決議案処理を自制するよう要請したと聞いている」と明らかにした。
またイノウエ議員は書簡を送りながら、この書簡が公開された場合に及ぼす影響を憂慮し、徹底的に秘密を維持するよう要請したことが伝えられた。
特に、「40余年間政治をしながら、上院議員の自分が下院議員に書簡を送るのは今回が初めて」と強調し、議員らの協調を求めたという。
米議会で特定議案をめぐり議員間で協調を求めることはよくあるが、議案を処理しないよう要求するケースは多くない。特に上院議員が下院議員に書簡を送ってまで協調を求めるのは異例だ。
この消息筋は「下院外交委では慰安婦聴聞会後、決議案処理に弾みがついたが、処理を安倍首相の訪米後に遅らせたのも、イノウエ議員の影響がかなりあったと考えられる」と伝えた。
さらに「イノウエ議員が書簡で指摘した慰安婦決議案の問題を詳細にみると、日本政府の論理と非常によく似ている」とし「日本大使館が書簡作成に深く関与したのではないかという疑惑もある」と明らかにした。
米議会で共和党が多数を占めていた当時、日本政府はロバート・マイケル前議員を前面に出しながら議員を相手に慰安婦決議案を阻止するためロビー活動を行っていたが、‘人権’を強調する民主党が多数党になったため、イノウエ議員を通じて慰安婦決議案の阻止に乗り出したと、観測されている。
一方、ホンダ議員はイノウエ議員の書簡に対し、慰安婦問題は日米間の外交問題ではなく歴史の犠牲になった女性権益問題であり、日米関係を損つけるのではなく強めるはずだという内容の返信をしたことが伝えられた。 ワシントン=YONHAPニュース
安倍首相の謝罪「あいまい」と一蹴=慰安婦決議案の米下院ホンダ議員(時事通信,4月27日)
【ワシントン26日時事】第二次大戦中の従軍慰安婦問題で日本への謝罪要求決議案を米議会に提出したマイク・ホンダ下院議員(民主)は26日、安倍首相の訪米と重なる形で開催された在米従軍慰安婦支援団体「従軍慰安婦問題のためのワシントン連合」年次総会に出席した。ホンダ議員は、安倍首相が繰り返し表明している謝罪はなお不十分との立場を表明、謝罪要求決議案の採択に向けて今後も努力する方針を示した。
ホンダ議員は総会冒頭、記者団との質疑応答を行い、「安倍首相は個人的な謝罪の意を表したが、被害者にとってはあいまいな謝罪だ」と一蹴(いっしゅう)。その上で、「個人としてではなく、公式な謝罪でなければならない」と述べ、日本政府に対し、より踏み込んだ形で謝罪の言葉を重ねるよう要求した。
これに先立ち、安倍首相は米議会指導者と会談し、元慰安婦に対し、「個人として、首相として、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と公私にわたる立場で謝罪を表明したが、ホンダ議員はこれを事実上無視、今後も謝罪要求決議案採択に向けて多数派工作を展開していく構えを明らかにした。
首相に謝罪求める集会 ホワイトハウス前 元慰安婦ら70人程度(東京新聞,4月27日)
【ワシントン=小栗康之】第二次世界大戦中の従軍慰安婦問題に対する日本政府の正式な「謝罪」を求める抗議集会が二十六日、安倍晋三首相の訪米に合わせ、ワシントンのホワイトハウス前で開かれた。
複数の米市民団体でつくる「121連合」が主催。集会には元慰安婦の韓国人女性、李容洙(イ・ヨンス)さん(78)も加わり、自身の体験を説明した上で、日本政府の対応を批判した。七十人規模の参加者は「アベは謝罪しろ」などと記したプラカードを掲げ、安倍首相の宿泊先であるホワイトハウスのブレアハウス近くを行進した。
ただ、安倍首相が最近になって、同問題を謝罪した一九九三年の河野洋平官房長官談話を継承する意向を表明したこともあってか、大規模な集会にはならなかった。
安倍首相の発言は「正式謝罪でない」 ホンダ下院議員(東京新聞,4月27日)
【ワシントン=小栗康之】従軍慰安婦問題で日本政府の謝罪を求める決議案を米下院外交委員会に提出したホンダ下院議員(民主党)は二十七日、安倍晋三首相が米議会指導者との会談で「申し訳ない気持ちでいっぱい」と発言したことに対し、正式な謝罪ではないとの認識を示し、決議案の採決を引き続き求めていく考えを表明した。
ホンダ議員は「首相が謝罪に関する個人的なコメントを行ったことは喜ばしい」と述べ、評価できるとの考えを示した。
ただ、首相発言は「正式な謝罪ではない」と指摘した上で「(日本には)犠牲者と国際社会に対し、あいまいではなく正式な謝罪が求められている」と主張した。
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