改憲や改憲手続き法についての3つの地方紙の世論調査。
傾向にはバラつきがあるが、はっきり共通しているのは、どこでも改憲「不必要」が増えているということ。
もう一つ回り、変化のスピードをあげたいところ。
信濃毎日
改憲「必要」 50.7%(前回比20.2ポイント減)
改憲「不必要」 33.2%(前回比15.9ポイント増)
9条改正「必要」 35.3%
9条改正「不必要」28.8%
改憲判断の情報「あまりない」「まったく不十分」 56.1%
改憲判断の情報「十分ある」「まあある」 41.8%
沖縄タイムス
改憲「必要」 43%(前回50%)
改憲「不必要」 46%(前回29%)
9条改正「必要」 24%(前回29%)
9条改正「不必要」56%(前回40%)
改憲手続き法「不必要」(議論不十分・改憲につながる)67%
改憲手続き法「必要」 26%
集団的自衛権「行使しない」51%
「行使する」(解釈で・改憲で)39%
北海道新聞
改憲「必要」 70.4%(前回比4.6ポイント減)
改憲「不必要」 29.0%(前回比6ポイント増、過去最高)
改憲手続き法「必要」 32.4%(前回比22.6ポイント減)
改憲手続き法「どちらともいえない」 46.4%
集団的自衛権「行使しない」 53.4%
「行使する」 24.2%
憲法改正 「賛成」は計50%「反対」計33%(信濃毎日新聞、5月1日)
信濃毎日新聞社は30日、5月3日で施行60年を迎える日本国憲法について県民千人に尋ねた電話意識調査の結果をまとめた。憲法改正が「必要」(「どちらかといえば必要」を含む)とした人の合計は50・7%で、「必要ない」(「どちらかといえば必要ない」を含む)の33・2%を上回った。16・1%は「なんともいえない・わからない」とした。
2005年7-8月に県世論調査協会が憲法の見直しなどについて千人に郵送で尋ねた県民意識調査(回答率56・2%)に比べ、改憲に肯定的な回答の割合は20・2ポイント低く、否定的な意見の割合は15・9ポイント高い。憲法改正手続きを定める国民投票法案の国会審議が大詰めを迎える中、改正には慎重な県民意識もうかがわせている。
今回の調査で「必要」とした人のうち、14・2%は「これ以上の拡大解釈を防ぐため」としており、自衛隊の海外派遣に象徴される憲法条文の形骸(けいがい)化を懸念する立場。戦争放棄や戦力の不保持を定めた九条の改正について「必要」としたのは35・3%。「必要ない」は28・8%、「なんともいえない・わからない」は35・9%で、改憲に肯定的な立場でも九条改正には慎重、否定的な意見が少なくなかった。
一方、改憲の是非や、どう見直すかを判断できる知識・情報について43・1%が「あまりない」とし、「全く不十分」と合わせて56・1%に上った。「十分ある」(7・1%)、「まあある」(34・7%)とした人も、学校や地域で知識・情報を得た人は1-2割にとどまっており、憲法について学習したり、論議したりする環境の乏しさが浮き彫りになった。
憲法改正について男女別にみると、「必要」は男性53・6%、女性48・0%、「必要ない」は男性37・3%、女性29・5%。「なんともいえない・わからない」は男性9・0%、女性は22・6%だった。
国民投票法案については「法律は必要だが、急ぐ必要はない」が56・4%。「憲法改正につながる法律は必要ない」は13・1%で、「早く成立させるべきだ」は11・0%にとどまった。
憲法改正反対46%/本社世論調査 賛成43%を上回る/9条改正反対は5割超(沖縄タイムス、4月29日)
施行六十年の憲法記念日を前に、沖縄タイムス社が二十一、二十二の両日に実施した電話による県内世論調査で、憲法改正について「必要ない」と答えた人は全体の46%で、「必要ある」の43%をやや上回った。二〇〇四年四月の前回調査で「必要ない」は29%で、「必要ある」は50%だった。憲法改正の焦点になっている九条については「改正するべきではない」が56%(前回40%)、「改正するべきだ」24%(同29%)。国会で足早に進む改憲論議に、慎重な考えを示す人の割合が増えている現状が浮かび上がった。
改憲に反対した人に理由を聞くと「平和理念があるから」が最も多く67%、「国民の義務が重くなりそうだから」15%、「生活に根付いているから」13%だった。前回調査は「平和理念」66%、「生活」7%でそれぞれ微増。年代別に見ると、反対は五十代が最も多い。
改憲に賛成の理由は「新しい権利や制度を加えた方がよいから」は57%(前回26%)、「アメリカの押し付け憲法だから」21%(同38%)、「自衛隊の位置付けを明確にした方がよいから」16%(同28%)。年代別で賛成に最も多かったのは三十代だった。
改憲容認派の51%が改正は「緊急な課題」と考えている。
九条について「改正するべきだ」と答えた人のうち、戦争放棄をうたう一項の改正が「必要」の回答は43%、「必要ない」は49%。戦力の不保持を定めた二項は「必要」が69%、「必要ない」は21%だった。
憲法改正の手続きを定める国民投票法について、「議論が十分でない中で決める必要はない」54%と「憲法改正につながるため、決める必要はない」13%を合わせて、全体の約七割が今国会での同法成立に否定的な意見を持っている。「手続きを定めることは必要」の答えは26%だった。
内閣支持率は40%で、不支持44%をやや下回った。内閣支持者のうち57%が憲法改正に賛成、逆に不支持の64%が反対だった。
安倍晋三首相が憲法解釈の見直しを検討している「集団的自衛権」の行使について、「使えない立場を堅持する」が51%でほぼ半数を占めた。一方で「憲法解釈で使えるようにする」(24%)と「九条を改正して使えるようにする」(15%)で行使容認派は約四割に上った。
調査の方法 県内の有権者を対象に、二十一と二十二の両日、コンピューターで無作為に抽出した番号に電話するRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)により実施し、八百人から回答を得た。回答者の内訳は男性49%、女性51%。
国民投票法案 賛成は大幅減32% 具体化で慎重に 本社全道世論調査(北海道新聞、4月29日)
北海道新聞社は五月三日の憲法記念日を前に、「憲法に関する道民世論調査」を北海道新聞情報研究所に委託して実施した。憲法を「全面的に改めるべきだ」あるいは「一部を改めるべきだ」とした「改憲容認」は70・4%で、昨年より4・6ポイント減った。また、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の賛否を聞いたところ、「賛成」は32・4%と昨年より22・6ポイント減少した。五月中にも法案成立が予想される中、その内容が具体化したことで慎重になったり、改憲の現実化に危機感を抱いたりしたためとみられる。
改憲容認は依然として七割を占めるが、その割合は二○○四年以降の調査で○四年四月と並び最も少なかった。一方、条文を改めず存続すべきだとする「護憲」は前年を6・0ポイント上回る29・0%で過去最多だった。
改憲を容認する人に、改憲論議の中心となる九条二項の「戦力の不保持」について尋ねたところ、条文を「変更しなくても良い」とする回答は49・4%となり、「戦力を持つことを明記すべきだ」(44・9%)を初めて上回った。
また、九条一項の「戦争放棄」については、39・5%が「自衛戦争も含めて、すべての戦争放棄を明記」とし、「自衛のための戦争であればよいと明記」(38・4%)をわずかに上回った。この、憲法の平和主義を徹底するために護憲の立場で条文を変更しようという改憲容認の意見は、昨年から7・5ポイント伸びた。
参議院で審議中の国民投票法案については、「どちらともいえない」が46・4%を占め、「賛成」は昨年の55・0%から32・4%に大幅に減少。憲法の改正手続きを定めた法整備に昨年まで賛成だった人たちが、慎重な姿勢に転じたことが浮かび上がった。
法案に賛成した人の58・6%は、理由に「憲法改正の手続法がなかったこと」を挙げ、「憲法改正につながるから」としたのは20・4%。一方、法案に反対する理由では「もう少し時間をかけて慎重に審議すべきだ」が最多の39・8%だった。
憲法の解釈上では禁じられており、安倍晋三首相が一部容認の方向で検討する有識者会議を設けた「集団的自衛権」の行使については、53・4%が否定的。容認は24・2%だった。
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