WAMがカトリック系の平和団体から「平和賞」を受賞した。
戦時性暴力を「記憶する場所を設けた」ことが評価されたという。
同資料館は、「慰安婦」加害の実態を記憶し、この問題の解決に取り組む運動のセンターとしての役割も果たしている。
他方、海南島「慰安婦」裁判の第一回口頭弁論が東京高裁で行われた。
事実は認定するが賠償責任はないという、過去の判決を乗り越えるための取り組みである。
慰安婦問題の資料館に国際団体の「平和賞」(朝日新聞、5月15日)
日本軍による慰安婦制度の被害者の声などを集め展示する「女たちの戦争と平和資料館」(WAM、西野瑠美子館長)がキリスト教系平和団体の国際パックス・クリスティ(本部・ブリュッセル)による今年の「平和賞」を国内団体として初めて受賞した。15日夕、東京都新宿区のWAMで授賞式がある。
カトリック系の50カ国6万団体が加盟する同団体は、欧州連合(EU)のドロール元委員長や故デメロ国連事務総長特別代表に平和賞を授与したほか、88年からクロアチア、フィリピン、ルワンダなど紛争地域で働く活動家らを平和賞に選んできた。今回は、05年開館のWAMが「平和のため、戦争による女性への性暴力被害を記憶する場所を設けた」ことが評価された。
「慰安婦制度」は国家犯罪/東京高裁で口頭弁論 被害者救済を訴え(しんぶん赤旗、5月16日)
中国海南島「慰安婦」訴訟控訴審の第一回口頭弁論が十五日、東京高裁(浜野惺裁判長)で開かれました。原告の中国人女性八人(うち二人死亡、遺族が継承)は戦時中、日本の植民地下にあった海南島で旧日本軍に性暴力を受けたとして、日本政府に対し損害賠償と謝罪を求めています。原告側弁護団は被害者の救済を訴えました。
弁護団の小野寺利孝弁護士は「『従軍慰安婦制度』を国家犯罪であるとみているのが国際社会の共通の認識であり、従来被害女性たちへの真摯(しんし)な謝罪と賠償をおこなうよう日本に対し勧告してきたのが国際世論だった」と指摘。
「官憲における強制連行という狭義の強制性を裏付ける証言はなかった」と発言した安倍首相に対し、「首相発言は、このような国際世論への挑戦と受けとめられた」と批判しました。
また、裁判所に対し、被害の真相・実相に肉薄し、日本が負うべき法的責任を明確に判断するよう求め、「独自の被害者救済の判決を目指していただきたい」と訴えました。
坂口禎彦弁護士は、同訴訟は「性奴隷とされた戦時中の被害について賠償を求めるとともに、日本政府が被害者らの名誉回復さえおこなわず、放置してきた戦後の行政不作為責任を問うもの」と主張。他の弁護士から「被害はいまも継続している」として、PTSD(心的外傷後ストレス障害)についての報告がありました。
東京地裁判決は二〇〇六年八月、戦時中の被害事実や加害行為による悪夢、どうき、恐怖など戦後も続く被害を認定しましたが、原告の請求をいずれも棄却しました。
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