朝日の世論調査である。
全体として「自民か民主か」という「二大政党制」づくりへの「誘導」をはたしかねない枠組みのものではある。
しかし、20~30代は、政治対して冷めた視線ではあるが、安倍内閣へのきわめて高い不支持率を示している。
他方、民主についても「頼もしい」とは思わないが、自民よりは「改革」への期待ができるといった程度の支持である。
過去の自民による「改革」に、基本的に民主が同調してきた事実を、しっかりと知らせる取り組みが大切である。
参院比例投票先、民主29%・自民23% 本社世論調査(朝日新聞、6月11日)
参院選に向けて朝日新聞社が9、10日に実施した第5回連続世論調査(電話)で、「仮にいま投票するとしたら」と比例区の投票先を尋ねたところ、民主が29%で自民23%を初めて上回った。これで、自民は28→31→26→24→23%、民主は21→21→25→23→29%と推移し、公示まで1カ月を切った段階で民主リードに転じた。内閣支持率は34%で、前回(30%)まで2週続いた下降傾向に歯止めがかかった形だ。しかし不支持は48%と前回(49%)並みの高水準だった。
連続調査は毎週末、「朝日RDD」方式で実施している。今回の有効回答は1038人、回答率は60%。
比例区の投票先では、女性の民主の割合が前回16%から22%に上がり、自民と並んだ。男性も30%から35%に上昇。無党派層も自民8%(前回9%)、民主21%(同15%)と民主が伸びた。選挙区の投票先も自民31→33→29→27→27%、民主22→20→26→24→28%となり、互角の争いになっている。
大量の年金記録が誰のものか分からなくなっている問題について、政府の対応策を「信頼しない」75%が、「信頼する」16%を大きく上回った。この問題で民主が果たした役割を「評価する」42%、「評価しない」38%で、民主は一定の評価を得ている。
自民と民主のイメージについて質問すると、「頼もしいと感じる」(自民45%、民主25%)では民主は自民に水をあけられたが、「改革の面で期待できる」(自民30%、民主44%)、「国民のほうを向いている」(自民22%、民主44%)ではポイントを稼いでおり、投票先にも結びついたとみられる。
一方、ドイツで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)での安倍首相について、「存在感を示した」は34%で、「そうは思わない」の49%を下回った。サミットで首相のイメージがよくなったかは「変わらない」が76%と最多。「よくなった」15%、「悪くなった」3%で、サミットは支持率を大きく回復させるまでの効果はなかったようだ。
20~30代「安倍離れ」進む 連続ネット調査(朝日新聞、6月13日)
小泉前政権の高支持率を支えたとされる20~30代の若者は参院選でどう動くか。朝日新聞社は5月中旬から、その世代を対象に5週連続でインターネット調査を行ってきた。安倍内閣に対しては当初から不支持が支持のほぼ倍あり、ここにきてさらに支持が低下。参院選の投票先も自民が下降、民主が上昇傾向だが、選挙結果の予測は「自民が勝つ」がなお54%で、民主は25%。政権への批判意識が選挙を左右する状況に至っていない現実が浮かぶ。
内閣支持率と参院選の予想の推移
20~30代の有権者は05年小泉郵政総選挙で大量に自民支持に回ったとされ、自民党も、小泉政権末期まで他世代に比べ高支持率で突出していたこの層の動向が参院選のカギを握るとみる。しかもこの世代の民意は、固定電話や面接による調査ではとらえにくいため、今回初めてネット調査を行った。極端な結果がでやすいネット調査の特性を踏まえ、連続調査で傾向を分析した。
内閣支持は1回目から28%と、不支持50%を大きく下回り、5回目で16%まで下落、不支持は67%に増えた。世論調査で堅調な支持率をみせた5月中旬段階からこの世代で「安倍離れ」が続き、年金や松岡前農林水産相問題を受けさらに支持を失ったことがわかる。
参院選の投票先も、選挙区では自民23→22→22→20→18%、民主23→25→27→30→29%。比例区でも同様の傾向だ。
参院選に「大いに関心がある」は1回目の16%から5回目の20%へ微増したが全体では低い。ただ、注目点は「大いに関心がある」層の反応。5回目の勝敗予想で、民主勝利が47%と、37%の自民を逆転した。
「あなたの1票で政治が変わると思うか」には「変わる」が3割程度。「変わらない」が6割程度で動きがない。覚めた目で政治をみる様子が浮かぶが、参院選が関心を引きつける選挙になると「思う」が3回目から33→42→44%と上昇傾向だ。民主党が政権批判意識が濃厚なままこの世代を投票に連れ出せるか、自民党が対抗できるかが焦点となりそうだ。
〈ネット調査の方法〉 調査はインテージ・インタラクティブ社に委託し、約63万人の登録モニターのうち20~39歳を対象にした。4月中旬に内閣支持などを質問し、7万1814人の有効回答を得た。その回答者を全国の地域別や内閣支持率・政党支持率などで層別し、毎回1800人を選んで5月10日から毎週実施した。1回の調査期間は木曜午後4時~月曜午前9時。各回の有効回答数は(1)1489(2)1471(3)1410(4)1414(5)1405
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