市場を活用しながら、社会主義をめざす中国の政権が、景気の過度な加熱に取り組んでいる。
過去20年の急速な経済成長のなかで、大きな景気後退を体験していない中国だが、市場と資本の巨大化の中で、市場の活用にはますます高い技術が必要とされるようになっている。
さて、どのように引き締めを浸透させることができるものか。
中国、経済引き締め強化 過剰投資や株急騰に対応(しんぶん赤旗、6月18日)
【北京=山田俊英】中国政府が改めて経済引き締めを強化しています。過剰投資や株式市場の過熱がさらにはっきりしてきたためです。
温家宝首相は十三日に開いた国務院(内閣)常務会議で、経済成長の過熱を防止する必要があるとして、新規着工プロジェクトの規制、過剰流動性への対策、貿易黒字の抑制を提起しました。輸出拡大のために行われてきた輸出税還付の見直しも打ち出しました。
中国人民銀行(中央銀行)は昨年四月以来四回の利上げを実施していますが、今後さらに利上げされるとみられます。
過熱を示す指標の一つは、固定資本投資(設備投資など)の伸びが一段と加速したことです。国家統計局の十五日の発表では、ことし一―五月、都市部の固定資産投資は前年同期比25・9%増。一―四月は同25・5%増。伸び率抑制どころか、逆に増えています。
一―五月の投資は、中央政府のプロジェクトの14・9%増に対し、地方政府分は27・3%増。中央の引き締め策が地方に徹底していないことが改めて示されました。
もう一つは、株価の急上昇と不安定な値動きです。上海総合株価指数はこの一年で三倍に跳ね上がっています。
二月二十七日に急落し、世界同時株安の引き金となった後に上昇し、五月二十九日に最高値をつけた後、また急落。六月四日までに15%下落しました。
五月二十九日に発表された印紙税率の引き上げに加え、政府が資本取引への新規課税を検討中とのうわさが流れたことが原因でした。その後また上昇に転じ、十五日までに13%上昇しました。
経済協力開発機構(OECD)は最近発表した経済見通しの中で、中国の株価が今後、大幅な調整を迫られる可能性があると指摘し、暴落の危険性を示唆しました。
投資家の多くは、預貯金代わりに株式で資産を運用している個人。株式ブームは主婦や学生にまで広がっています。株価が急落することになれば、国民生活に影響が避けられません。
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