塩崎氏の発言は、マイケル・グリーンの入れ知恵どおり? 「他国の議会の話」ではなるが、話の中身は「自国」のことだ。
他人の非常識をいう前に、中山氏は「慰安所」をつくった日本人を「心優しい民族」といい、「慰安婦」はほとんどが日本人だったという自らの非常識発言を正すべきである。
以上、詳細は『「慰安婦」と心はひとつ 女子大生はたたかう』参照のこと。
WPに「慰安婦」問題をめぐる「事実」意見広告を掲載した中心人物の一人である花岡氏の記事は、いくつか大切なことを教えてくれる。
中でも、もっとも重要なことは、WPへの意見広告が必ずしも「慰安婦」問題である必要はなかったということ。
当初は「南京事件」で申し入れていたというのだから、事柄の核心は〈靖国史観の正当化〉そのものにあったということである。
「慰安婦」が得てきた「対価」の問題など、「事実」に対する「基本的認識」のおそまつもあからさまである。
「慰安婦」決議は、6月26日に下院外交委員会に、7月中旬には下院本会議にかけられる見通しだという。
すでに何度かの延期があったわけだが、今回の意見広告が、議決促進のだめ押しになったとの観測もある。
米議会の従軍慰安婦決議案で官房長官「コメント控える」(日経新聞、6月18日)
塩崎恭久官房長官は19日午前の記者会見で、米下院外交委員会が旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案を採決するとしていることについて「他国の議会の話であり、政府としてのコメントは控える」と述べた。同時に「安倍晋三首相は4月の訪米時に自らの言葉で気持ちを伝えてきた」と語った。
「慰安婦決議は非常識」・自民党の有志議員(日経新聞、6月19日)
自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の中山成彬会長は19日の記者会見で、米下院外交委員会が日本政府に従軍慰安婦問題での謝罪を求める決議案を採決に付すことについて「事実でもないことを決議するのは非常識」と批判した。
【花岡信昭の政論探求】「慰安婦」意見広告の重み(産経新聞、6月19日)
「慰安婦」問題をめぐり、米紙ワシントン・ポストに日本側識者らによる意見広告が掲載された。「ザ・ファクツ(事実)」と題する全面広告で、これまで韓国系団体などの反日広告は掲載されてきたが、日本側のものが米紙に載るのは初めてだ。
意見広告では、当時の日本軍当局が出した通達や韓国紙の報道など「5つの事実」を提示し、「官憲による強制連行はなかった」ことを指摘している。
評論家・屋山太郎氏、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏、西村幸祐氏らの識者に加えて、自民、民主両党など40人を超える国会議員が賛同者として名を連ねた。
これに対し、さっそく、韓国の朝鮮日報は「日本の知識人の道徳水準をさらした慰安婦広告」という評論記事を掲載した。「日本の首相、外相ら不道徳な政府関係者に、不道徳な国会議員、知識人らが加わり、犯罪の歴史を闇に葬ろうとあがいている」といった相変わらずの調子だ。
米下院でマイク・ホンダ議員が提出した対日非難決議が採択されそうな情勢下にあって、日本側から「事実を知ってください」という冷静なトーンの意見広告が出された意味合いは大きい。
決議案では慰安婦を「セックス・スレイブ(性奴隷)」と断じ、日本軍の組織的な「慰安婦狩り」が行われたとし、「20世紀最大の人身売買事件」とまで主張している。これでは「日本は“レイプ魔”国家である」と言っているようなもので、国家と国民に対するこれ以上の誹謗(ひぼう)中傷はない。
それも、当時は公娼制度のもとで専門業者がおり、慰安婦は兵士から対価を得ていた、といった基本的な認識にも欠けているのだから、始末に負えない。そうした誤りをただす努力を、日本の政府・外交当局はどこまで徹底させてきたか。
国際社会では一方的な言説に対して、きちんと反論しておかないと、容認したものと受け止められ、ゆがんだ日本のイメージが定着してしまう。「慰安婦」「南京」「靖国」など、歴史認識をめぐるあらゆる問題に共通する課題だ。
今回の意見広告は作曲家のすぎやまこういち氏がかねてから進めてきた企画がようやく実現したものだ。当初は南京事件をめぐる意見広告を出そうとしたが、米紙にことごとく拒否され、慰安婦問題に切り替えてようやく成就した。
この意見広告は、いわば「政治の怠惰」によってここまで野放しにしてしまった反日プロパガンダの横行を、なんとか食い止めようという思いに基づいている。本来は政府が国の意思としてやらなければならないものだ。それだけに、すぎやま氏の「こころざし」は重みがある。(客員編集委員 花岡信昭)
花岡信昭:ワシントン・ポスト紙に「慰安婦意見広告」(日経BP、6月21日)
米下院の慰安婦問題を巡る対日非難決議案に対し、日本側の意見広告がワシントン・ポスト(14日付)に掲載された。韓国メディアなどが激しく反発し、この意見広告が逆効果となって米下院の批判ムードを高め、決議案は26日にも下院外交委員会で採択される見込み、といった報道も出ている。
この意見広告にかかわってきた1人として、経緯と真意を説明しておきたい。日本側メディアの中にも意識的に(としか思えない)曲解している向きがあるためだ。
「THE FACTS(事実)」と題する全面広告は、政治評論家・屋山太郎氏、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏、作曲家・すぎやまこういち氏、評論家・西村幸祐氏、それに筆者の5人による「歴史事実委員会」の名前で出された。
実はすぎやま氏を中心に、2年ほど前から「南京事件」を巡る意見広告を出そうとし、広告原案を作成して折衝したのだが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど主要米紙は拒否した。そこで、マイク・ホンダ議員の慰安婦非難決議案に対抗する意味合いもあって、慰安婦問題に切り替え、原案を作成した。
ニューヨーク・タイムズは今回も拒否したが、ワシントン・ポストはわずかな字句修正を求めた(「事実」の提示を主眼としたため、「これは意見広告ではありません」と冒頭に振ったところ、意見広告の扱いなのだからちょっと困るという回答があったものだ)だけで、掲載を応諾した。
ワシントン・ポストは韓国系団体の日本非難広告を掲載しており、それとのバランスを取ろうとしたのかどうか。ここで日本側の意見広告を受け入れた背景は分からない。だが、米国内に慰安婦問題を巡る変化がようやく生じてきたのではないかとも感じたのである。
自民・民主議員の米紙意見広告 「慰安婦」強制を否定 海外から批判(しんぶん赤旗、6月20日)
日本の自民党・民主党の議員四十四人が十四日付米紙ワシントン・ポストに、「従軍慰安婦」の強制性を否定した意見広告を出したことに対して、元「慰安婦」の女性は激しい憤りの声を上げています。
オーストラリアのAAP通信十五日付は、インドネシアで日本軍の「慰安婦」とされた豪在住のジャン・ルフ・オハーンさん(84)の声を紹介しています。
オハーンさんは、意見広告がとくに日本軍の強制を示す証拠は見つかっていないと主張していることについて、こう語っています。
「私はトラックに詰められ、家族から離れた遠いところに連れて行かれ、買春宿に入れられて、一日中強姦(ごうかん)され続けた」「私たちが強制されていなかったという、どんな証拠を彼らが出せると言うのか」
オハーンさんはそのうえで、「日本は歴史的責任を認めていない。私たちは日本が戦時中に犯した罪を認めて謝罪してほしいのです」と訴えています。
オハーンさんは今年二月に訪米し、米下院外交委小委員会で自らの体験を証言しています。
また韓国の東亜日報十六日付は、意見広告に対して「米国内には強い逆風が吹いている」と紹介。やはり同日の韓国紙・朝鮮日報はこの意見広告に関して次のように論評しています。
「日本は首相や外相をはじめとする不道徳な日本関係者に、不道徳な国会議員、さらには知識人までが加わり、犯罪の歴史を闇に葬り去ろうとあがいている。だが、彼らがそうした行動をとればとるほど、日本国民の誇りが地に落ちるばかりだということに、もはや気づくべきだろう」
加藤駐米大使「慰安婦決議案、日米関係に良くない」 (日経新聞、6月21日)
【ワシントン=丸谷浩史】加藤良三駐米大使は20日の記者会見で、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で、米下院外交委員会が日本政府に謝罪を求める決議案を26日に採決することについて「客観的事実に基づかない決議は日米関係にとって良いことではない」との考えを示した。同時に「これからも適宜適切に働きかけていく」と、議会関係者などに説明を続けると表明した。
これまでも日本政府は(1)いわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を認め、謝罪してきた(2)アジア女性基金で元慰安婦の方々に償いの事業を実施してきた――などと説明し、決議案の内容は事実に反すると指摘してきた。ただ26日に下院外交委が採決する決議案の共同提案者は20日までの段階で142人に上っており、可決は確実な情勢となっている。
「強制性否定」が逆効果=採択濃厚の慰安婦決議案-米下院(時事通信、6月19日)
【ワシントン19日時事】米下院外交委員会が26日に採決する従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議案は、賛成多数での可決と、本会議での採択が濃厚となっている。ここまで支持が拡大した要因の1つに、安倍晋三首相が「狭義の強制性」を否定する論陣を張り、米議員の反感を買ったことが挙げられる。日本の国会議員らによる最近の強制性否定の意見広告が駄目押しとなったとの見方も広がっている。
慰安婦:米下院決議、7月中旬に本会議で表決=共同通信(朝鮮日報、6月21日)
米議会下院の慰安婦決議案が、来月中旬ごろ下院本会議で表決に付されることになる、と共同通信が20日、米ワシントン発の記事で報じた。
共同通信によると、マイケル・ホンダ米下院議員(共和党)は19日(現地時間)、ワシントンで「慰安婦決議案が来週下院外交委員会を通過したら、下院本会議にいつごろ上程されると予想するか」との質問に、「来月中旬ごろ本会議で表決処理されるとみている」と答えたという。
日系米国人のホンダ議員は、共和党議員らとともに今年1月、安倍晋三首相が日本軍慰安婦問題について公式謝罪するよう促す決議案を発議した。これに関し、ホンダ議員は「慰安婦決議案は日本に打撃を与えるためのものではなく、われわれの過去を認め、正面突破するためのもの」と説明した。
そして慰安婦決議案は、米下院外交関係委員会で今月26日表決が行われる。決議案は共和党と民主党の下院議員140人余りの支持を得ており、難なく通過するものと予想されている。そのため現在の関心は、決議案が下院本会議を通過できるかに移っている。なお米議会では、今回のものと類似した内容の決議案が過去4回提出されたことがあるが、昨年9月に1度だけ外交委を通過しただけで、下院本会議を通過したことはない。
一方、「ナンシー・ペロシ下院議長は慰安婦決議案を支持するのか」という質問に、ホンダ議員は「支持すると聞いている」と答えた。
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