2008年1月から、中国で新たな「労働契約法」が施行される。
①当人が希望する場合には、基本的には終身雇用。
②派遣でも正社員と同じ仕事の場合には、同じ賃金。
③社則の変更は組合との協議を義務づける。
④これまでなかった退職金(経済補償金)を設ける。
⑤20人以上の人員削減については、組合や当局との議論を義務づける。
日本の「構造改革」に見られるアメリカン・グローバリゼーションには、真っ向対立といった内容だが、他方で、これはヨーロッパ社会の常識でもある。
大企業やり放題の新自由主義は、決して、無制限に拡張しているわけではない。
それにつけても、情けないのは日本の政治と社会の姿。
人々よ、もっとはっきり「願い」を語ろう。
それは、決して「わがまま」ではない。
中国、「終身雇用」へ新法成立・労働者保護に力点(日経新聞、6月29日)
【北京=尾崎実】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会で29日、労働者の解雇を制限する「労働契約法」が可決、成立した。2008年1月から施行する。事実上、労使間で「終身雇用」契約を結ぶよう求め、違反した雇用者の賠償金支払いを義務付けた。中国が労働者保護に力点を置く姿勢を鮮明にした形だ。
雇用契約の長期化は「給与水準の上昇→労働コストの拡大」の流れを生みかねない。中国展開する外資系企業は今後、コスト削減策を迫られる可能性がある。中国企業も農村部からの出稼ぎ労働者らを明確な雇用契約に基づかずに低賃金で採用していた例が少なくないとみられており、新たな労働法制への対応を迫られそうだ。
同法は企業が勤続10年以上を数えるか、期限つき雇用契約を連続して2回結ぶかした労働者との契約を更新する際、終身雇用に切り替えなければならないと明記。違反した場合は、2倍の月給支払いを義務づけた。労働条件を変更する際には労働組合などとの協議が必要であるとも定め、労組の権限も強化した。
中国、労働者の権利保護を強化へ 雇用の長期化促す(朝日新聞、6月29日)
中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は29日、雇用契約の長期化を促すなど、労働者の権利保護を強化した労働契約法案を可決した。08年1月から施行する。
中国では、山西省で明らかになった未成年者の強制労働など、正規の契約を結ばない雇用が横行し、労働者の保護が急務とされてきた。ただ、安い賃金を競争力としてきた企業には、負担となりそうだ。
法案によると、働き始めてから1カ月を過ぎても書面契約を結ばない雇用主は、月給の2倍の割増賃金を支払わなければならない。また、同じ企業で勤続10年を超えたり、期限付き契約を2度更新したりした場合、労働者が希望すれば、基本的に無期限の雇用契約を結ぶことも義務づけた。派遣社員であっても、正社員と同じ仕事をした場合は、同じ賃金の支払いを受け取る権利がある、とした。また、労働者の権利に影響する社則の変更は、組合と協議するよう求めている。
中国では労働契約を結んでも1年更新の企業が多いため、「安定に欠け、労働者の権益に深刻な影響を与えている」(全人代広報担当)として、雇用主に契約の長期化や退職時の補償金の支給を促す。
中国、労働契約法を採択…労務コスト上昇へ(読売新聞、6月29日)
【北京=寺村暁人】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は29日、労働者の権利保護を強化した「労働契約法」を採択した。対象は外資系企業を含み、来年1月1日に施行する。
中国では現在、契約期間の終了時に退職金を支払う必要はないが、同法施行後は「経済補償金」の支払いが義務付けられる。また、20人以上の人員削減を行う場合、労働組合か従業員の意見聴取と、当局への報告義務を盛り込んだ。
さらに、連続して期限付きの雇用契約を行ったあと、再び契約する場合は無期限の契約にする必要が生じる。日系企業などにとっても「人員調節が難しくなるほか、労務コストも確実に上昇する」(メーカー人事担当者)見通しで、各社は対応に迫られそうだ。
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