敗戦の日に、靖国への参拝閣僚がゼロになるのは、1950年代半ば以降初めてのことであるというから驚きである。
選挙での大敗にくわえて、政冷経涼の改善を求める財界、靖国史観の強まりに対するアメリカの「警戒」も影響しているのだろう。
靖国参拝、全16閣僚が15日見送り 50年代半ば以降初めて(中日新聞、8月10日夕刊)
安倍内閣の十六閣僚全員が終戦記念日の十五日に靖国神社に参拝しない意向を十日の記者会見などで表明した。安倍晋三首相も見送りの方向なのに加え、中国、韓国との関係改善が進んでいることへの配慮が背景にありそうだ。閣僚の終戦記念日の大量参拝が始まった一九五〇年代半ば以降、参拝閣僚がゼロとなるのは初めてとみられる。
見送る理由として塩崎恭久官房長官は「私の信条でいつも決めていること」と説明。伊吹文明文部科学相は「宗務行政の所管大臣として、公平を期すため」と職務上の理由を挙げた。
公明党の冬柴鉄三国土交通相は「宗旨が違うから」と明言した上で、他の閣僚について「枢要な地位にある人には隣人の気持ちを配慮する気持ちは必要」と述べ、首相、外相、官房長官の参拝は不適切との認識を示した。
溝手顕正防災担当相は「行ったことがない」と表明。山本有二金融担当相は「公的立場の参拝は歴史的経緯からアジアの政治的安定を害する」と指摘した。
このほか、外遊など公務で参拝できないとしたのは麻生太郎外相、高市早苗沖縄北方担当相、柳沢伯夫厚生労働相ら。一方、菅義偉総務相、長勢甚遠法相、高市氏は「毎年、何回も参拝している」(菅氏)などとして、閣僚就任後、既に参拝していることを明らかにした。
安倍首相は九日、記者団に対し「行く、行かないについて明言する考えはない」と述べた。訪米中の小池百合子防衛相も、記者団に参拝しない意向を表明していた。
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