この夏の学生たちの新聞登場の5回目である(「慰安婦」問題4回、選挙1回)。
ネット上には、アップされていないようである。
今問われる「従軍慰安婦」下 「反省できる国に」 学び、声あげる女子学生(しんぶん赤旗、2007年8月17日、近畿のページ)
神戸女学院大学の石川康宏教授のゼミでは、二〇〇四年度から「従軍慰安婦」問題の学習を続けています。毎年、韓国を訪問し、元「慰安婦」のハルモニ(おばあさん)と交流しています。
あくまで前向き
同ゼミ4年の原田佳苗さん(21)は昨年九月に元「慰安婦」が暮らす「ナヌムの家」を訪れました。資料館でハルモニの遺品を見て「なんの解決もされないまま、亡くなった人たちがいる」と気分が落ち込んだといいます。
姜日出(カン・イルチョル)ハルモニの証言を聞きました。「軍靴の靴ひもを編む仕事がある」とだまされ、「慰安婦」にされたといいます。つらい記憶にもかかわらず、学生たちに「兄弟のように手をとって仲良くしたい」と、あくまで前向きでした。「その期待にこたえたい。話を聞いただけで終わらせたらだめ」と原田さんは決意します。
「慰安婦」の事実は、戦争で日本軍が犯した加害の歴史を浮き彫りにしています。それは、原爆や祖父母の戦争体験など、被害の歴史しか聞かされていなかった学生たちにとって衝撃でした。
小谷直子さん(21)は「日本軍も、利用した男性もむかつく」といいます。「女性は非力です。それを男の力で無理やり強姦(ごうかん)するなんて、ほんまむかつく」
渡辺綾子さん(22)は、個人の問題ではないと考えました。「人を殺すのが当たり前になっているのが戦場。だからこそ、そういう施設を造った政府が許せません」
守ろう憲法9条
帰国後、「自分たちに何ができるのか」と相談しました。ちょうどそのとき、高校時代の担任の先生のつてで、講演をすることになりました。うわさが広がり、各地の高校や市民団体などから講師依頼が相次ぎます。これまでに二十回以上。最初は原稿を読み上げるだけだったスピーチも、参加者とのやりとりを楽しむまで上達しました。学生たちは「ちょっとでも話すことで、関心を持ってもらえたら」と口をそろえます。
韓国では、ハルモニたちが毎週水曜日に日本大使館前で行っている抗議行動「水曜集会」に参加しました。マイクを持った小谷さんは訴えました。「私たちは憲法九条を変えて戦争できる国になることを望んでいません。日本が(過去の戦争を)反省できる国になるよう、若い力で変えていきたい」
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「強制はなかった」という安倍首相の発言について、石川教授は「今、政府が『狭義の強制性』でしか抵抗できないことのあらわれ」と指摘します。
「それ以外については認めざるを得ませんから。ただし、強制連行についても被害者、加害者、目撃者の証言があります。だからアメリカでさえ決議を上げた。『慰安婦』問題を解決しようとしない日本政府は、国際的に孤立しています。責任を持って考えねばならない立場になれば、若い世代は飛躍的に成長します。おとなたちは、その環境をつくる努力をしなければなりません」(おわり) (和田肇)
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