政府かいう給油による「国際貢献」の内容は、8割が「米軍貢献」であることが明らかになった。
さらに自衛艦によるアメリカ補給艦への給油が、イラク戦争に従事するアメリカ空母に補給されていたことも明らかになっている。
官房長官は「補給艦への給油」の中止を検討すると述べたようだが、根本問題は戦争をするアメリカに軍事的「貢献」をする必要があるのかということであろう。
民主党は特措法延長反対とともに、空自の撤退をも求める方針であるらしい。
官房長官「補給艦への給油、中止を検討」(読売新聞、10月3日)
町村官房長官は3日午前の記者会見で、インド洋で海上自衛隊が実施している他国艦船への給油活動のうち、補給艦に対する給油について、「(中止することを)今後議論していくことになろうかと思う。全体のオペレーション(作戦)が可能なら、それは一つの考えだ」と述べ、中止を検討していく考えを明らかにした。
海自の給油をめぐっては、イラク作戦に従事した米空母に対し、米補給艦を通じて間接的に給油された可能性が指摘されている。
給油を駆逐艦、巡洋艦などに限り、補給艦への給油中止を検討するのは、こうした疑念を一掃するために、活動に関する透明性を高める必要があると判断したものとみられる。
海自給油 8割は米艦船 防衛省作成資料で判明(しんぶん赤旗、10月3日)
海上自衛隊がインド洋でテロ特措法に基づいて給油した艦船用燃料のうち、約八割は米艦船に提供されていることが二日までに分かりました。政府・与党はインド洋での給油活動を「国際貢献」だと主張していますが、実態は米国の軍事活動への支援そのものであることが、いっそう明白になりました。
防衛省が作成した資料によると、二〇〇一年十二月から今年八月三十日までに海自補給艦が提供した艦船用燃料の合計は四十八万四千キロリットルで、このうち79・5%にあたる三十八万五千キロリットルが米艦船向けとなっています。
また金額では合計二百二十億円のうち74%にあたる百六十二億円を占めています。
防衛省が九月二十八日に公表した別の資料によると、海自が提供した艦船用燃料のうち49%にあたる二十三万七千キロリットルが、〇一年十二月から〇三年三月の間に米英の補給艦に給油されています。
この時期はアフガニスタンでの「対テロ」報復戦争とイラク戦争開始が重なり、米艦船の活動がもっとも活発な時期でした。海自が提供した燃料が米補給艦を通じてイラク戦争に参加した米空母などに給油されたことも明らかになっています。
一方、政府は、給油が「対米支援ではない」理由として、過去一年間でパキスタン艦船への給油が増えていることを挙げています。実際、給油回数では米艦船に次いでいますが、パキスタンは小型の艦船一隻のみのため、給油量は全体の4%にあたる一万九千キロリットルにすぎません。
テロ特措新法案に対し、民主はイラク特措法廃止法案で対抗(読売新聞、10月3日)
民主党は3日、インド洋で海上自衛隊が給油活動を継続するための新法案を政府が衆院に提出すれば、直ちにイラク復興支援特別措置法廃止法案を参院に提出する方針を固めた。
政府の新法案は、アフガニスタンを中心とするテロ掃討作戦に当たる米英などの艦船に、海自が補給活動をするのが柱となっている。これに対し、民主党のイラク特措法廃止法案は、イラクに派遣された航空自衛隊を撤退させることを目的にしており、両法案が対象とする地域は異なっている。しかし、民主党は、インド洋で活動する海自が、イラク作戦に従事した米空母に対しても給油した疑いがあるとして、自衛隊派遣の是非を追及する構えだ。
これに関連し、民主党の簗瀬進参院国会対策委員長は3日の記者会見で、「アフガニスタンに行くはずの油がイラクに行っているなどの事実関係が指摘されている。問題の本質を国民に分かってもらうためには、アフガニスタンとイラクの問題を一体になって議論した方が、本質をえぐり出せる」と述べた。
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