「集団自決」に関する検定作業に、「新しい歴史教科書」を作成したメンバー等の流れが深くかかわっていたことが明らかになった。
靖国派流「教育再生」活動の一環である。
指摘された渡海文科相は「そういう力が働いてはいけない」と述べているが、古典的靖国派に対する文科省なりの巻き返しという面もあるのだろう。
“靖国史観”教科書の人脈 検定に強い影響力 石井氏質問(しんぶん赤旗、10月25日)
沖縄戦の「集団自決」教科書検定問題で、文部科学省の検定に、“靖国史観”にもとづく「新しい歴史教科書」(扶桑社)監修者の伊藤隆東大名誉教授の門下生や共同研究者が教科書調査官、教科書検定調査審議会委員として深く関与していたことが二十四日、明らかになりました。日本共産党の石井郁子議員が衆院文部科学委員会で質問しました。
「集団自決」への日本軍の強制・関与を削除する検定意見で合議した日本史担当の教科書調査官は四人。調査官の意見書を審議する検定審議会の「日本史小委員会」に属する近現代史の審議委員も四人います。
石井氏によると、教科書調査官のうち、近現代史を担当する調査官二人はともに伊藤氏が一九七一年から東大文学部助教授をつとめていた時代の教え子であり、伊藤氏と共同の研究や著作があります。さらに、近現代史専門の審議委員四人のうち二人が、一九九七年度から二〇〇二年度まで伊藤氏が統括責任者をつとめる研究グループで共同研究をおこない、共同著作があります。(図)
石井氏はこれらの事実を示し、「これで公正・中立な検定といえるのか」と政府の認識をただしました。渡海紀三朗文科相は「検定そのものは、適正な手続きにもとづいておこなわれた」としながらも、「(調査官、審議委員の選定には)疑義を持たれないようにしなければならない」と答弁。「そういう力が働いてはいけないので、配慮、指導したい」と述べ、審議会のあり方などについても、「透明性をあげるよう検討したい」と答えました。
石井氏は、伊藤氏と関係の深い二人の調査官は、「新しい歴史教科書」の検定にもあたっていたこともあげ、「文科省の認識は甘い」と指摘。「学術的・専門的にたえられない今回の検定意見を撤回することなしに、問題は解決しない」と述べ、あらためて文科省の責任で教科書の記述を回復するよう求めました。
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