「日本会議」メンバーでありながら日米同盟最重視、東アジアとの関係修復に重きをおく福田氏の「現実主義的靖国派」路線に対し、より「古典的原理的靖国派」に近い立場からのグループづくりの動きである。
会長が自民党員でない平沼氏となっているところに、新党結成を視野におさめた布石の意図が感ぜられる。
伝統・文化を守り、戦後システムを見直しするということの内容が、アメリカの対日・対東アジア政策とどのような関係に立つものとなるのか。
そこがとりあえずの注目点といえようか。
自民・中川昭一氏ら勉強会、派閥横断で「健全な保守」推進(読売新聞、12月5日)
自民党の中川昭一・元政調会長や島村宜伸・元農相ら保守色の強い有志議員は4日、派閥横断の勉強会を発足させた。
今後、対中外交や北朝鮮の拉致問題、人権擁護法案などについて積極的に発言していくと見られ、党執行部からは警戒する声が出ている。
設立総会は、東京・永田町の憲政記念館で開かれ、自民党議員29人と無所属の平沼赳夫・元経済産業相が出席。代理出席は29人だった。最高顧問に平沼氏、会長に中川氏が決まった。設立趣意書には、<1>伝統・文化を守る<2>疲弊した戦後システムを見直す<3>国益を守り、国際社会で尊敬される国にする――などの項目を盛り込んだ。会の正式名称は、決まらなかった。
平沼氏は「日本に健全な保守が成立することが望ましい。改革はやらなければならないが、文化や伝統を大切にする姿勢は必要だ」と述べた。中川氏は「自信と誇りと謙虚さを持って進んでいく」と語った。
席上、自民党の人権問題等調査会が3日に新たな人権救済制度を設ける人権擁護法案を巡る議論を始めたことが話題になり、「知らないうちに会議が開かれた」などと疑問視する声が上がった。
中川氏は、福田政権を「全面支援する」としている。しかし、出席者には9月の総裁選で麻生太郎・前幹事長を支持した議員が多く含まれ、党執行部は、勉強会が「反福田色」を強めることを懸念している。メンバーは、安倍前首相とも志向が近い。伊吹幹事長は4日の記者会見で「勉強は結構だが、党の結束を乱さないようにやって欲しい」とクギを刺した。
平沼氏は次期衆院選後、新党結成も視野に自民、民主両党の橋渡し役を務めるとしている。勉強会が政界再編の震源地になるのではないかとの観測もある。
4日の総会の出席者は次の通り(代理出席を除く。敬称略)。
【自民党】奥野信亮、萩生田光一、高鳥修一、西田昌司(以上、町村派)山口泰明、戸井田徹、馬渡龍治(以上、津島派)清水鴻一郎(古賀派)中川昭一、古屋圭司、中野清、小島敏男、江藤拓、鍵田忠兵衛、中曽根弘文、中川義雄(以上、伊吹派)松本純、薗浦健太郎、赤間二郎、鴻池祥肇、浅野勝人、塚田一郎(以上、麻生派)西本勝子(高村派)島村宜伸、水野賢一、武藤容治、山中あき子(「あき」は火へんに華)、永岡桂子、佐藤正久(以上、無派閥)
【無所属】平沼赳夫
自民・中川昭氏が勉強会立ち上げ 保守再結集へ旗揚げ(朝日新聞、12月4日)
自民党の中川昭一・元政調会長が4日、「保守勢力の再結集」を掲げ、新たな勉強会を立ち上げた。同党や無所属の国会議員ら代理を含めると、初会合の参加者は59人。会長に就任した中川氏は「福田首相と党執行部を全面的に支援する」と強調しているが、総選挙後をにらみ、党派の枠組みを超えた保守派結集の核となる可能性もありそうだ。
この日、東京・永田町で開かれた初会合には、自民党の町村、津島、古賀、伊吹、高村、麻生各派や無派閥、無所属の議員30人が出席した。勉強会は、安倍前首相の「戦後レジームからの脱却」路線の継承をめざしており、中川氏は「数カ月前まで、みんなが『やるべきだ』と言っていたことが忘れ去られてはいけない」と訴えている。
人権擁護法案の国会再提出に向けた議論が再開するなど安倍路線転換の動きに、党内の保守派は警戒感を強めている。最高顧問に就任した郵政反対組の平沼赳夫氏(無所属)はあいさつで「やるべき改革は大胆にやる。だが、文化や伝統、侵してはならないものを守る政治の姿勢が大切だ」と呼びかけた。
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