〔①TPPとは何か〕
例外なしの関税撤廃協定、「関係国との協議を開始」と決定(10年11月9日)、6月決定は延期
〔財界の輸出企業と米豪が推進者〕
「工業製品輸出のために、農水産物を輸入する」、①自動車・電気機械など輸出関連の財界中枢企業の利益と、②アメリカ・オーストラリア農林水産物輸出大国の利益(オバマ政権の輸出倍増計画)
農水省試算、国内の農産物生産4・5兆円減、食糧自給率40%から13%に、農業の多面的機能(国土・環境・洪水・生態系他)3・7兆円喪失、関連産業総生産8・4兆円減少、350万人の雇用喪失
〔かわりに第一次産業の法人化を〕
EUより大規模化が進んでいる北海道も壊滅的に、道庁試算、道経済2・1兆円損失、うち7割は農業以外の関連産業と地域経済の損失
東北での「水産業復興特区」はこれに対応、TPPへの参加を前提に「強い水産業」をすすめていく、内実は、大手資本のもとへの第一次産業の集約化、大規模化、法人化
宮城県知事の提言に対する宮城県漁協の抗議、政府に対する全国漁協の抗議
〔②道州制とは何か〕
2010年6月「地域主権戦略大綱」閣議決定
「地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるように」「道州制も射程に」
日本経団連・御手洗会長「日本経済の現状と課題」(08年9月17日)
「国は、国防・外交など国の根幹に関わる政策に特化」「地域がそれぞれ自らの地域を経営し、その結果責任を負うという『地域経営』が実践できる」「第1に、道州が権限・自主財源を持つことにより・・・効率的な産業育成」
〔③原発政策を見直す世界①〕
ドイツ、6月6日、原発17基の全廃(原子力法改正案)閣議決定、再生可能エネルギー法案なども
現在停止のものはそのまま閉鎖、その後15年、17年、19年に1基ずつ、21年に3基、22年に3 基という行程表
メルケル首相、3日記者会見、「後戻りの選択肢はないことが明確になった」
〔原発政策を見直す世界②〕
イタリア、5月19日、全廃した原発の復活計画を無期限に凍結する方針
ロマーニ経済発展相「重要なことは、クリーンなエネルギー、とりわけ再生可能なグリーン・エネルギーの生産」
25年前のチェルノブイリ原発事故の後、1987年の国民投票で原発全廃を決定、ベルルスコーニ首相は2008年の総選挙で原発復活を公約に掲げ、13年から4カ所で原発を建設する計画だった
〔原発政策を見直す世界③〕
スイス、5月25日、国内5基の原発を耐用年数の切れる時期までに廃炉、最も遅いライプシュタット原発が2034年
「原発の危険性を低くしたいという・・国民の意思」、原発維持のリスク、長期的には再生可能エネルギー利用が経済的に勝る
発電量の39%を占める原発の代替として、(1)水力発電の拡大(2)風力・太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギー利用の本格化(3)ガス火力発電の稼働や輸入電力の利用
〔原発政策を見直す世界④〕
EU、3月24、25日にブリュッセルで首脳会議、域内14カ国の稼働中原発143基すべてを対象にした「ストレステスト」(検査内容-地震、津波、テロ、冷却装置や電源の予備体制など)を年内実施の方針
「不合格になった原子炉は廃炉になる」(フランス・サルコジ大統領、25日)、ドイツ、スペインの首脳も検査に合格しない原発の閉鎖もあると表明
〔原発政策を見直す世界⑤〕
タイ、3月15日報道、アピシット首相が原子力発電所計画に反対する立場を政府部内に伝えたと、「日本で起きたことは、タイに原発を建設すべきかどうかという決定に影響するだろう」
中国や日本の技術協力を受けて2020~25年に5基の原発を商業運転させる計画を推進していた
〔原発政策を見直す世界⑥〕
インドネシア国営電力会社PLNのダーラン・イスカン総裁、3月24日、「インドネシアにいま原発は必要ない」、原子力利用が可能かどうか研究する必要があるとした上で、水力や地熱などを挙げて、「なぜ既存のエネルギー源に目を向けないのか」と
日本の三菱重工業とフランスの原子力企業アレバが、「地震やテロ攻撃に耐えられる」原発事業をPLNに提案
〔④新しい日本をどうつくっていくか〕
財界主導か、国民生活第一か、根本対立
①被災者支援・復興(二次被害の防止)、②原発事故の収束と補償・賠償
復興の原則、①被災者が再出発できる生活基盤の回復、②下からの復興、住民の合意を国・自治体が実現する
エネルギー政策の転換、①ドイツのように期限を区切って原発をゼロに、②その間の危険を最小限にする、独立した安全監視機関を
〔本当に憲法を指針とする社会に〕
人権、幸福追求権、生存権、労働権、居住権、教育権などを政治が保障
「第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
「第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
〔⑤経済の展望をどう考えるか〕
復興財源は予算の組み換えと大企業の内部留保の活用(奪うのではない)で、消費税(復興税)は復興と支援の力を奪う
「法人税減税や証券優遇税制の延長など、2兆円におよぶ大企業・大資産家減税を中止」「歳出全般を見直し、不要不急の大型公共事業の中止、米軍への『思いやり予算』やグアムの米軍基地建設費の中止、高速道路無料化の中止、原発の建設・推進経費の削除、政党助成金の撤廃など」「これらによって年間5兆円程度の財源を確保」
〔大企業の内部留保の活用〕
244兆円にのぼる内部留保(資本金10億円以上)を、復興と被災地域の経済再建に活用」「従来の国債とは別枠で、『震災復興国債』」「大企業は『手元資金』だけでも64兆円におよび、『使い道がなくて困っている』」(日銀総裁)
労働運動総合研究所試算、「資本金1億円以上、3万3355社の企業がもつ内部留保317兆円のうち4・7%」で「15兆円を確保」
「復興国債」は市場に出回らないものに、投機の対象にさせない、対策終了後に償還
〔復興国債の償還の展望〕
財政再建の基本方向、①負担能力に応じた税の累進性、②無駄な支出をはぶく(軍事費、公共事業)、③安定的な経済成長による税収の自然増(GDP拡大で純債務のGDP比を引き下げ、国際的信頼を高める)
成長に必要な内需、その中心となる個人消費(家計)をあたためる-基本は、①社会保障の拡充、②労働者の賃上げ・正規雇用の拡大、③消費税増税はこれに逆行
〔⑥原発災害への緊急対応〕
①危機の収束、家にもどれる見通し、原発労働者の安全・労働環境の改善
②東京電力の賠償責任を明確に、産業被害には国は賠償の仮払いを(東京電力の内部留保約2兆円、プラント建設の東芝1・61兆円・日立2・28兆円にも応分の負担)
③放射能汚染の正確な情報、労働者と住民の健康管理
④避難・被災住民の支援
〔期限を区切って原発をゼロに〕
①新設計画中止、②浜岡、福島第1・第2を廃炉に、③老朽原発の運転中止、④住民合意のない原発運転中止、⑤放射性廃棄物の再処理施設の閉鎖(東海村、六ヶ所村など)
原発推進から独立した安全確保のための監視・規制機関の必要
運転停止から廃炉まで約20年、全過程を監視、使用済核燃料の処理技術の研究・確立と処理の終了まで
〔自然エネルギー開発の展望〕
自然エネルギーの開発・普及、低エネルギー社会への努力が必要
和田武『飛躍するドイツの再生可能エネルギー』世界思想社
「水力はもちろん、太陽エネルギーも風力もドイツを上回る資源量があり、バイオマスでも国土面積中の森林比率はドイツの2倍以上あり・・・地熱資源も火山国の日本は、ドイツより豊富である。海洋には、波力、潮汐力、温度差エネルギーなどもあり、バイオマス資源さえ生産が可能」「産業発展と雇用拡大に大きな効果」
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