今日(4月23日)の主催は「障害者の生活と権利を守る滋賀県連絡協議会」という長い名前の団体である。
瀬田の県立障害者福祉センターにおじゃまする。
この4月から「障害者自立支援法」という極悪非道法が施行されている。
①障害者施設に対する国庫負担を減らす,②施設利用者(障害者)からとる利用料を増やす,③しかも障害が重い人ほどたくさんとる(本人や家族の収入は考慮しない)というのが基本である。
その結果,④施設通いをやめる障害者が出てくる(金が払えないから),⑤家にこもるしかない障害者には「生きる意欲」を失う人もでている,⑥そして,それではひどすぎると128の自治体が負担軽減措置をとっている。
だが,そんなにたくさんの自治体が特例措置をとらずにおれないような法律は,法律自体がおかしくないか?
「私はこまかい福祉制度の専門家ではありません」「しかし,この国の金がどこにどのようにつかわれて,どうして福祉予算が削られているかの大枠についてはお話ができます」。
そう切り出して,今日は次のように話してみる。
①「構造改革」が日米大企業のもうけのジャマを破壊するための改革であること(「改革の本丸」とされた郵政民営化が最良の事例)
②社会保障分野に金儲けの自由を拡大するために公的制度の解体がすすんでいる(福祉は金で買え,買えない人間は自前で生きろ)
③あわせて財政赤字が理由とされるが,神戸空港,関空,広島県三次市の合併特例債など,無駄づかいの実例紹介(大阪湾に捨てる金はあっても,凍死するホームレスを救う金はない,これは明らかな人災,琵琶湖空港をストップさせた滋賀県民はエライ)
④最近の福祉・社会保障制度攻撃は「自己責任」論を前にたてる,では,万人の人権という18世紀以降の人間社会の知恵はどこへいったのか(福祉を「たかり」だという竹中平蔵氏の思想は17世紀どまりのよう)
※ここは,研究・運動の領域でもっと強調されて良い点ではないか
⑤7月には滋賀県知事選があり,琵琶湖空港ストップのリーダーの1人が立候補する(現県政は「新幹線栗東駅」を新設し,これをさらに新設するJRの接続駅と400メートルもの遊歩道でつなぐという,そのための240億円をなぜ生きた人間につかえないのか)
⑥かつて総人口の43%が福祉を大切にする「革新自治体」にくらしたことがある(なぜそれが壊されたかの経過もふくめ,大人は歴史をもっと語らねば)
⑦社会保障攻撃は自民党「新憲法草案」にも盛り込まれている(「公の秩序」の限りに個人の自由や人権を制約する,クセモノは「公の秩序」のあいまいさ,現実政治から類推すれば障害者の自由や権利は「自立支援法という公の秩序」の限りで享受しろとのこと,竹中流「たかり」思想ではそうなっていく)
⑧こんな政治がつづくのは,少数者の利益だけを守る政治を「みんなのため」と思い込ませるいくつもの仕掛けがあるから(4500をこえる9条の会に沈黙するマスコミ,先回りして二大政党制を準備する財界,本当の歴史は教えない教育,「郵便局に税金がつかわれている」というようなあからさまなウソ,日米安保条約を決して問わない出版界)
⑨だから肝心なことはだまされない政治的に熟した人間づくり(「その国の政治がアホなのは国民がアホだから」,悲しいかなこの格言には少なくない真理がある)
⑩滋賀県には「琵琶湖空港で地域振興」というウソを見抜いた知恵がある(「革新自治体」をつくった当時の学びの力を思い起こし,自民党に「福祉元年」宣言(73年)を余儀なくさせた「地方から国政へ」の改革の圧力を再び)
⑪医療制度改悪反対署名1800万人,在日米軍基地強化反対には神奈川では保守首長も「命をかける」と取り組んでいる(マスコミが報じなくても現実政治は動いている,その潮目の変化をしっかりつかんで)
終了後,①革新自治体をわかりやすく伝えるには,②「勝ち組・負け組」論にのせられる国民意識の転換のためには,③若い世代の取り組みについてと質問があり,語れるだけのことを語ってみる。
終了後,講師料と交通費を差し出されるが,講師料についてはご遠慮する(めずらしく)。
昨日の「大久保」も1時間,今日の「瀬田」も1時間。JR沿線だと,家から行くのに,案外時間がかからない。
そして,座れるかぎり,すいた電車は快適な書斎。
行きは「自立支援法の人」,帰りは「講演本原稿の人」であった。
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