これまで書斎として使ってきた「挟撃の3畳間」から,6畳の本棚部屋への書斎の移動が行なわれている。
3畳から6畳へという数字の変化に注目すれば,これは家庭内におけるわが地位の上昇とみることができよう。
しかし,6畳間にはすでに7本の本棚が立っている。今後,さらに4本がつけ加わる予定である。
その結果,6畳の部屋に合計11本の本棚となる。
くわえて,3畳間にあったわが机たちも,こちらへ移動しないわけにはいかない。
こうなると現実は「挟撃の3畳間」から「もっと挟撃の6畳間」への,わが地位の実質低下と見るしかない。
床面積倍加の一方で,自由空間は縮小する。
3畳間になかった「窓が手に入る」(ただし廊下側)というのが唯一のわがなぐさめであろうか。
わが地位上昇という外観のもとに,3畳間「解放」という狡猾な策動がすすめられているのが,目下のわが家の真実である。
政治というのは,いつでも複雑なものであり,夫婦の力関係というのはいつでも実に明快である。
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