米朝間の危機が高まっていた時期のことであり、また橋本・クリントン首脳会談によって、21世紀のグローバル日米安保が語られた時期のことである。
沖縄の普天間基地およびその代替基地は、朝鮮半島での紛争に際しての発進基地であり、しかも米軍単独ではなく「国連軍」(今日では有志軍の可能性も低くないのだろうが)の発進基地であらねばならないとされている。
朝鮮有事、普天間に300機 96年の米公文書で判明(北海道新聞、5月3日)
朝鮮半島有事などに備えて策定された米軍普天間飛行場の使用計画を示す米公文書のコピー
米軍が1996年、朝鮮半島の有事などに備えて策定した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の使用計画が3日、共同通信が入手した米公文書から判明した。常駐のKC130空中給油機やCH53E輸送ヘリコプターなど約70機に加え、約230機を順次増派。計300機で作戦を遂行する「青写真」が描かれており、同飛行場がアジアにおける「出撃の最前線基地」(軍事評論家の江畑謙介氏)である実態を示している。
文書は同飛行場の代替施設の性格について、米軍に加え国連軍も活用できる「朝鮮(半島)での紛争への発進地」と表現。昨年の日米合意に基づきキャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に建設予定の代替施設も、有事には同様の軍事的役割を担うとみられる。
95年の沖縄少女暴行事件を受け、日米両政府間で普天間返還へ向けた協議が本格化する直前の96年1月23日付の米軍関係メモによると、第1海兵航空団は日米交渉を主導するキャンベル国防副次官補(当時)に対し、同飛行場の機能に関する説明用資料を準備した。
米公文書の要旨は次の通り。
▽情報メモ(1996年1月23日付)
一、第1海兵航空団は、米軍普天間飛行場の有事における必要条件について、キャンベル国防副次官補にブリーフィングを行った。
一、ブリーフィングは米軍嘉手納基地の第18航空団司令官(空軍)の説明を先に受けた副次官補の要求で実施。同司令官は有事に追加配備される部隊に提供できるスペースは嘉手納にないと強調していた。
一、第1海兵航空団は、特定の有事において300機が普天間飛行場を使用すると説明した。
一、71機が現在配備されており、有事発生に伴い142機が段階的に普天間経由で移動。他の有事に投入する必要がなければ、戦闘激化を受け、さらに87機を増派。
一、ピーク時には90機が(同時に)駐機される計画も示された。
▽メモ「普天間飛行場の移設」(日付なし)
一、日米特別行動委員会(SACO)の作業プロセスで普天間飛行場が移設候補となるなら、以下の条件が満たされなくてはならない。
一、朝鮮での紛争に対する軍事行動を取るための発進地を海兵隊と国連軍参加の各国に提供できる基地が、新たに指定されなくてはならない。
一、普天間配備の海兵隊の陸上部隊と航空支援部隊は朝鮮有事の作戦計画に極めて重要。
一、この地域で海兵隊にとって唯一の空中給油機能を提供するKC130を嘉手納基地に移転。給油機能はこの地域の危機に対応できる長距離展開能力を与える。
一、定期的な飛行作戦や補修機能を確保するために、管制塔や誘導路、格納庫などのインフラが提供されるべきだ。
一、普天間が提供する柔軟性を補うため、航空自衛隊基地を使うことも可能かもしれないが、日本政府の事前の確約が必要となる。(共同)
普天間の代替施設も「韓半島有事の最前線基地」(朝鮮日報、5月4日)
米軍は沖縄県の普天間空軍基地の代替施設も、韓半島(朝鮮半島)をはじめとするアジアでの有事に対処する最前線の基地としていく方針だと、共同通信が3日付で伝えた。
共同通信は、韓半島の有事などに備えるため、1996年に策定された普天間基地の使用計画に関する米国の公文書を独自に入手し、その内容を引用し伝えた。
この使用計画によると、米軍は普天間基地に、既存の空中給油機KC-130や輸送用ヘリコプターCH-53Eなど70機に加え、各種の航空機約230機を順次増強配備し、計300機で作戦を遂行できるようになっている。
米国の公文書は、普天間基地の代替施設の性格について、米軍はもとより国連軍も活用できる「韓半島有事の際の最前線基地」と表現している。
これにより、昨年の米日両国の合意に基づき、沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設される代替施設も、有事の際には普天間基地と同様の役割を果たすことになるとみられる、と共同通信は指摘した。
米日両国政府は、95年に発生した米軍兵士による少女暴行事件をきっかけに、普天間基地の移転に向けた交渉を本格化させた。
96年1月23日付の米軍の関係資料を見ると、第1海兵航空団は当時、日本政府との交渉を主導したカート・キャンベル国防副次官補に対し、普天間基地の機能について「周辺有事の際の最前線基地」という内容の説明資料を提出していたことが分かった。
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