チャベス政権による石油国有化が、着々と進んでいる。
産経は、アメリカ産業界の意向を汲み、石油価格上昇につながるとの見通しを語って、資源ナショナリズムに反対している。
キューバをはじめ、南米各国へのエネルギー供給の動きは視野に入っていないらしい。
米石油大手、ベネズエラ主要油田の権益失う・エクソンは撤退(日経新聞、6月27日)
【シカゴ=毛利靖子】米石油最大手の米エクソンモービルと3位のコノコフィリップスは26日、南米ベネズエラで主要油田の開発権益を失った。チャベス政権が油田の国有化を進めているためで、エクソンは同国から撤退する。原油高を背景にした資源国有化の動きが欧米石油大手の経営に打撃を与えている。
エクソンなどが権益を失ったのは、北部のオリノコ川流域に広がる重質油地帯。埋蔵量はサウジアラビアを超えるとみられる。ベネズエラ政府は今年1月に開発事業の国有化を決め、国営石油会社(PDVSA)側の持ち分比率が6割以上となるよう、欧米勢に求めた。2社との間で持ち分などの条件で折り合えず交渉が決裂したため、開発権益をはく奪する。
【ワシントン=渡辺浩生】ベネズエラ北部の大規模油田開発事業から、米国のエクソンモービルとコノコ・フィリップスの国際石油資本(メジャー)2社が撤退する。反米的なチャベス政権が国営石油会社を通じて油田の国有化を進めているためだ。産油国に急速に広がる資源ナショナリズムの波に、メジャーは警戒を一段と強めている。
撤退するのはオリノコ川流域に広がる重質油地帯の開発事業。埋蔵量は世界有数の2700億バレルとされ、生産量は日量約60万バレルに上る。2社のほかシェブロン、英BP、仏トタルなどメジャー各社が開発に参加した。
チャベス大統領は今年1月、約300億ドルの価値があるとされる同事業の国有化を宣言、メジャー各社に対し、国営石油会社PDVSAに株式の過半数を譲渡するよう要求。シェブロンなど他社は譲渡に合意したが、エクソンとコノコは26日、株式の譲渡調印を拒否していた。
PDVSAの出資比率は39%から78%に倍増し、コノコは世界生産の5%、エクソンは1%に相当する権益を失うことになった。
世界6番目の確認埋蔵量を誇るベネズエラの油田国有化の動きは、「世界の石油生産や価格動向に悪い兆候」(米エネルギー政策研究所財団のルシアン・パリアレシ理事長)とみらている。
PDVSAは「2002年から03年のストライキで大量解雇された人材が回復せず、十分な専門家や技術力に欠けている」(米エネルギー情報局)とされ、メジャーの資本、技術の関与が低下することで、伸び悩む生産量はさらに低下する可能性がある。
しかし、産油国が国営企業を通じて、エネルギー資源の支配を強める動きは広がっている。
ロシアの政府系ガス独占企業体ガスプロムは4月、サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の経営権をロイヤル・ダッチ・シェルや三井物産、三菱商事から取得。エクソンや伊藤忠商事などが出資する「サハリン1」の全量買い取りも表明するなど、圧力を強めている。
世界的にエネルギー需要が拡大を続ける中、中東では地政学的リスクも高まり、メジャーは安定的な供給源の獲得に悩んでいる。資源国有化の波及は、生産量低下を通じて、価格の上昇圧力となりそうだ。
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