参議院選挙についての世論調査だが、自民党および安倍内閣の支持率は再び下がっている。とりわけ無党派の支持は大幅に後退しているらしい。
その自民離れは全体として民主支持に流れているが、問題はそれで政治がかわるかどうか。
「貧困と格差」の問題でも、戦争のできる国づくりの問題でも、すでに民主がやってきたことは、自民・公明路線とまるでかわらぬことばかり。
そこをキチンと見抜く力が必要。
参院比例投票先、自民24%・民主23% 本社世論調査(朝日新聞、6月5日)
参院選に向けて朝日新聞社が2、3の両日実施した第4回の連続世論調査(電話)によると、「仮にいま投票するとしたら」と比例区の投票先を質問したのに対し、自民24%、民主23%で、ほぼ互角だった。自民は安倍内閣の支持率下落にあわせるように低落傾向にあるのに対し、民主は前回、一気に接近したものの、勢いはついていない。
参院比例区、今投票するなら
連続調査は第1回(5月12、13日)から毎週末に1000人を目標に行い、投票日の1週間前まで続ける。
比例区の投票先として自民、民主を挙げた割合は、第1回から順に、自民28→31→26→24%、民主21→21→25→23%。男性は今回、自民24%、民主30%と民主が優位、女性は自民23%、民主16%と自民が優位だった。
参院選の争点として浮上している年金の問題を投票の際に「重視する」と答えた人をみると、比例区の投票先は第1回は自民28%、民主22%と自民優位だったが、今回は自民20%を民主27%が上回った。
選挙区の投票先は、第1回から順に自民31→33→29→27%、民主22→20→26→24%で、比例区と似たような傾向を示している。
望ましい政権の形は、第1回は「自民中心」36%、「民主中心」30%。それが、前回ほぼ並び、今回は「自民中心」31%に対し、「民主中心」が35%と差をつけた。
参院選では、与党が非改選議席を含めて過半数を維持できるかどうかが焦点だが、多数を占めてほしいのは今回、「与党」28%、「野党」49%。第1回から「野党」優位の状況が続いている。
参院選への関心を聞いたところ、「大いに関心がある」は、23→24→25→27%と徐々に上がっている。
内閣支持率 急落35% 政権発足以来最低に 全国世論調査(埼玉新聞、6月2日)
共同通信社が一、二両日実施した全国緊急電話世論調査で、安倍内閣の支持率は35・8%と五月中旬の前回調査から11・8ポイント下落し、昨年九月の内閣発足以来、最低となった。不支持率も48・7%と10・5ポイント上昇。社会保険庁の年金記録不備問題や、「政治とカネ」問題で追及を受けた松岡利勝前農相の自殺が影響したとみられる。
松岡氏を一貫して擁護した首相の任命責任について「果たしていない」とする人は69・5%と「果たしている」の19・9%を引き離した。松岡氏の自殺が今後の政権運営や参院選に「影響を与える」とする人が72・3%、「与えない」とする人は23・4%だった。
参院選を今、実施した場合の投票先を聞いたところ、民主党が28・8%と、自民党の26・5%を超えた。また、36・6%が民主党中心の政権を望み、自民党中心の政権の継続を望む人は35・7%。いずれの問いも安倍内閣発足以来初めて、民主党が自民党を上回った。
内閣不支持の理由で最多が「首相に指導力がない」で、前回から12・2ポイント増えて31・4%。支持理由では49・1%が「ほかに適当な人がいない」を挙げた。
年金時効撤廃特例法案と社会保険庁改革関連法案を強行採決するなど年金問題に対する政府、与党の取り組みに関しては「評価しない」が52・5%で、「評価する」は38・6%にとどまった。
政治とカネの問題への首相の取り組みについて「評価できない」が71・8%に上り、「評価できる」が17・0%。政治資金の透明化策として、政治資金規正法改正案に関し「今国会で改正すべきだ」が73・2%、「今国会で改正する必要はない」は18・7%だった。
政党別の支持率は自民党31・5%(前回36・3%)、民主党22・2%(同18・8%)、公明党5・0%(同3・4%)、共産党3・1%(同2・8%)、社民党1・3%(同2・3%)、国民新党0・6%(同0・1%)、新党日本0・5%(前回は回答なし)、支持政党なし35・5%(同35・1%)。
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▽調査の方法=全国の有権者を対象に1、2両日、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1486件、うち1040人から回答を得た。
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参院選対策の見直し必至
【解説】七月の参院選を乗り切り長期政権への道を開くとの安倍晋三首相の基本戦略に“黄信号”がともった。内閣支持率は小泉前内閣以来、最低となり、無党派層に至っては13・2%まで落ち込んだ。年金記録不備問題と松岡利勝前農相の自殺を受けた逆風が、世論の「安倍離れ」を一気に加速させたのは明らかで、首相は参院選対策の大幅な見直しを迫られたといえる。
政府与党は、記録不備問題で該当者不明の記録照合を一年で行うとし、衆院で年金時効撤廃特例法案の強行採決にも踏み切った。しかし社会保険庁と加入・受給者双方に記録がない場合の判断基準はあいまいなままだ。
世論調査では、こうした取り組みを過半数が「評価しない」と回答しており、二月に発覚した問題を放置してきた首相の「急場しのぎ」への厳しい視線を裏付けた。
政府部内では社会保障費の財源確保のための消費税率アップは不可避との見方が強い。首相は消費税問題は「今秋以降に論議する」として参院選で白紙委任状を取り付けようとしており、年金改革への姿勢を明確化することも求められよう。
与党は、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体による不動産所有を踏まえ、政治資金規正法改正の与党案に所有禁止規定を盛り込み、「政治とカネ」問題の批判の矛先を松岡氏から小沢氏に向かわせようと躍起だ。
首相は年金記録不備に絡み、基礎年金番号を制度設計した当時の厚相は民主党の菅直人代表代行だったと言及した。しかし一連の問題に真正面から向き合う姿勢を示さない限り、窮地を脱する道が開けるとは思えない。【共同】
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