ドイツで、資本主義への対案を示す新党「左翼」の創立が決まった。
左翼党と「労働と社会的公正のための選挙代案」が統一するもので、すでに両者は2005年の連邦議会選挙に統一名簿でのぞみ、得票率8.7%、54議席を獲得している。
社民でない真の左翼、民主的社会主義、社会福祉国家の党といった特徴づけも行われている。
新党「左翼」を結成 “社会福祉国家の党”掲げる ドイツ(しんぶん赤旗、6月18日)
【ベルリン=中村美弥子】旧東独部に基盤を持つ左翼党と旧西独部に基盤を持つ「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)は十六日、ベルリンで統一党大会を開き、圧倒的多数で「左翼」を党名とする新党の創立を決定しました。ドイツ統一後、初めて社会民主党(SPD)より政治的に左に位置するとみずから規定する全国規模の政党が誕生しました。新党の党員数は約七万二千人で、ドイツで三番目の党員を持つ政治勢力となります。
党大会は、ビスキー旧左翼党議長を83・6%で、ラフォンテーヌWASG議長を87・9%で共同議長に選出。また、幹部会委員四十四人を選出しました。新党「左翼」は、二〇一〇年まで議長二人体制を取ります。
ラフォンテーヌ氏は選挙に先立つ演説で、新党「左翼」を社会福祉国家の党だと規定。ドイツ国民が誇りを持つ社会福祉国家の制度が過去数年の政治で破壊されていると批判し、年金制度の改善などを通じて社会福祉国家を再現したいと訴えました。また、「国際法は平和を保障する唯一の手段だ」と指摘し、「われわれは国際法を順守する新たな勢力となる」と表明しました。
党大会では、連邦議会で両党統一会派の議長を務めるギジ氏があいさつに立ち、「今日の左翼の統一で、ドイツが本当に統一することになった」と述べました。新党「左翼」は、自由と社会正義の統一を通じて平和を守り、教育や文化において機会平等を広げ、環境保護に努めると約束。「自由と社会主義」を新党の目標にしていくと力を込めました。
両党は〇五年、統一候補者名簿で連邦議会選挙に臨み、8・7%の得票で五十四議席を獲得。その後、組織の合併を目指し協議を続けてきました。これまでに「綱領上の基本点」を両党がそれぞれ承認しており、今後二年間かけて討議していくことになっています。
日本共産党を代表して新党「左翼」創立党大会に参加している浅田信幸「しんぶん赤旗」欧州総局長は、新党指導部と意見交換しました。
独に全国的左翼政党 合同へ2党が大会(しんぶん赤旗、6月17日)
【ベルリン=中村美弥子】ドイツの左翼党は十五日、新党「左翼」結成に向けた終結党大会をベルリンで開き、新党の議長候補としてビスキー左翼党現議長と、幹部会委員二十二人を選出しました。合同の相手となる「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)も同日、ベルリンで終結党大会を開催しました。
両党は十六日に新党「左翼」創立大会を開きます。両党の合同で、ドイツ統一後、初めて社会民主党(SPD)の左に位置すると自己規定する全国規模の政党が誕生します。
左翼党は、旧東独の政権政党、社会主義統一党の後継政党で旧東独部に基盤を持っていた民主的社会主義党(PDS)が、二〇〇五年九月の連邦議会(下院)総選挙でWASGと統一名簿をつくるにあたって改称した政党。WASGはSPD元党員や労働組合活動家を中心に組織された政党で旧西独部を基盤としています。
左翼党のビスキー議長は演説で、キリスト教民主同盟(CDU)とSPDの連立政権の政治について、新自由主義のもとで医療保険や年金制度を改悪するなど社会的連帯を破壊していると批判。「このグローバル化の時代に社会正義とは何か、議論が必要だ」と述べ、「もう一つの社民政党ではなく、真の左翼勢力をつくろう」と呼びかけました。
新党「左翼」の課題として、▽党員数の拡大など党建設に取り組む▽州議会選挙で勝利を収める▽社会正義と平和のための政策に集中的に取り組む▽党内外の声を集めて今の時代にふさわしい綱領をつくる―ことを挙げました。
開会のあいさつをしたハンス・モドロー左翼党名誉議長は、「民主的社会主義という考えは左翼党の基本合意となっている」と指摘し、この思想を新党にも引き継ぐべきだと強調。ドイツの左翼勢力は社会主義の思想を持ち、資本主義への代案を提示しなければならないと述べました。
左翼党大会には、五十カ国の七十三政党・組織から来賓が参加。日本共産党を代表して浅田信幸「しんぶん赤旗」欧州総局長が参加しています。
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