自衛隊情報保全隊による国民監視問題を、全国20紙が1面で取り上げた。
防衛省幹部など部内者からの「自衛隊と関係ない反対運動まで」「やりすぎ」といった声も紹介されている。
マスコミも監視対象となっているが、全国紙で1面にとりあげたのは「朝日」だけのようである。
まさか、その他の全国紙は、早くも「大政翼賛」などということではないのだろうが。
これが安易に笑えないところに、現在の日本社会の怖さがある。
しっかりせえよ、マスコミ人。
“憲兵隊と同様” 改憲の動きとの関係で問題視も 自衛隊の国民監視 20紙が1面(しんぶん赤旗、6月8日)
日本共産党の志位和夫委員長が六日公表した自衛隊による大規模な国民監視活動について七日付各紙は、全国紙からスポーツ紙まで強い関心を示し、「自衛隊が『市民』監視」などの見出しで大きく報道しました。
(写真)自衛隊の国民監視活動問題を報じる地方紙
全国紙では「朝日」が一面で報じ、「自衛隊は国民を監視するのか」と題した社説を掲げました。ブロック紙の「東京」も一面で報道。「政権に新たな打撃」との解説記事などで詳報しました。
地方紙では、新潟日報、高知新聞、大分合同新聞、沖縄タイムス、琉球新報の五紙が一面トップ扱いでした。
秋田魁新報、東奥日報、信濃毎日、中日新聞、岐阜新聞、京都新聞、神戸新聞、中国新聞、山陰中央、山口新聞、四国新聞、長崎新聞、南日本新聞などが一面で報道しました。
防衛省内の声も
自衛隊の監視活動については、当事者からも批判が出ています。監視対象が医療費負担増反対や年金改悪反対の運動にまで及んでいることに関し、「東京」は、「自衛隊と関係ない反対運動まで調べている」との「内局幹部」の声を紹介。東奥日報など各紙は、「やり過ぎだ。誤解されても仕方がない」との防衛省幹部の意見を伝えています。
一連の新聞は、この活動が戦前の憲兵隊を想起させるとし、改憲をめざす動きとの関連を問うています。
「朝日」社説は、「戦前、軍隊内の警察だった憲兵隊がやがて国民を監視し、自由を抑圧する組織に変わっていった」とし、自衛隊を「軍」にする改憲案を自民党が掲げている現状に照らしても、「武力を持つ実力組織」が「国内に向かっては治安機関に転化しやすいという歴史的教訓」を「忘れてはならない」と述べています。
「東京」の解説記事も、「“軍部”が国民を敵視して監視下に置くとは、戦前戦中の憲兵隊をほうふつとさせる」と指摘。「国民を敵視するような自衛隊をこのまま軍隊化していいのか」と問題提起しています。
沖縄タイムスの解説記事は、「戦前の憲兵隊と同様の国民監視」は、自衛隊の「『裏の顔』が確実に変化していることを物語る」と指摘。「県民感情に配慮して慎重に徹してきた沖縄の自衛隊」でも、旧軍司令官を弔ったり「慰霊祭」で軍歌を斉唱するなど「吹っ切れたような行動が目立つ」とし、国民監視活動はこれらと表裏の関係にあるとみています。
怒りの声を紹介
多くの地方紙は、監視対象とされた自県内の活動に注目し、関係者の怒りの声を載せています。「軍暴走の兆候だ」「戦前に戻す気だ」「人権侵害」「怖い」「情報どう使うのか」などの声を見出しに掲げています。
二〇〇四年一月の米子での集会に参加した福間裕隆民主党鳥取県連幹事長は、「事実としたら…大きな憤りを感じる。党として事実経過を解明し、対応を考えたい」と発言(日本海新聞)。広島の被爆者らは「平和運動を国民の敵とみなすのか」と怒りの声をあげています(中国新聞)。
日本バプテスト京都教会の牧師は「国の方針に反対する市民や団体の監視が今後、さらに強まるのではないか」と懸念(京都新聞)。鹿児島県憲法を守る会の荒川譲会長は「実力を持つ国家機関が監視社会の一翼を担うことは許されない」と語りました(南日本新聞)。
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