アメリカの対テロ戦争に対する支援策としてのテロ対策特別措置法の延長に向け、安倍首相が強い熱意を示している。
「政権の外交、安全保障政策に変更はない」とも語っているが、法を定めるのは国会である。
選挙後の新たな政党配置の現実的な意味が、これから問われることになる。
米大統領、テロ特措法延長を要請 日米首脳会談(朝日新聞、9月8日)
安倍首相は8日午前、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため訪れたシドニー市内で、ブッシュ米大統領と会談した。首相はインド洋での海上自衛隊による多国籍軍艦船への給油活動について「ぜひとも継続が必要であり、最大限努力する」と述べ、11月1日で期限が切れるテロ対策特別措置法の延長に全力を挙げる考えを表明。大統領は「日本の支援は国際社会のメンバーにとって不可欠だ」と支援の継続を要請した。来年の北海道洞爺湖サミットに向けて、地球温暖化問題への取り組みなどで協力を強化する方針も確認した。
ブッシュ大統領は会談終了後、記者団に「安倍首相、日本政府と国民に対し、テロとの戦いへの貢献に感謝したい。この戦いにおける日本の役割は極めて重要で、必要な役割だ」と強調。海上自衛隊の給油活動について「米国だけでなく、ほかの国々にとっても欠かせない」と述べた。
続いて安倍首相も「テロとの戦いで国際社会が一致して協力する重要性を確認した。海上自衛隊の活動の重要性についても一致した」と語った。
日本側の説明によると、首相は会談の冒頭、7月の参院選で与党が惨敗し、参院で民主党が第1党になったものの「政権の外交、安全保障政策に変更はない」と言明。両首脳は、東アジアの諸課題への対処は日米同盟に立脚する必要があるとして、同盟関係の強化で一致した。沖縄の米軍普天間飛行場の移設など、米軍再編の問題、北海道洞爺湖サミットに向けた地球温暖化対策での日米協力の重要性でも一致した。
北朝鮮の核問題をめぐっては、北朝鮮の核計画廃棄、無能力化などを6者協議を通じて実行に移すことが必要との認識で一致。拉致問題については、首相が大統領の最近のインタビューでの発言に触れ、「大統領が拉致問題を忘れないと発言したことを心強く思う」と述べたのに対し、大統領は「日本の敏感さは理解しており、忘れることは決してない」と応じた。
地球温暖化問題について、首相は8月のインド訪問で、インドへの働きかけをしたことを報告。大統領は「経済成長と環境問題の両立が重要だ」と述べた。両首脳は、米国が9月下旬に開く国際会議や来年のサミットに向けて、すべての主要排出国を含む実効性のある枠組みをつくるべきだとの考えで一致した。
イラク問題で、大統領は今回、豪州に向かう途中に現地を訪問したことを踏まえて、「治安の改善がみられる。政治プロセスも進みつつある」と説明した。
イランの核開発で懸念を共有、国連安全保障理事会改革でも引き続き緊密に協力していくことで一致した。
米国産牛肉の輸入条件緩和などの問題については、大統領が月齢制限の撤廃を求めたのに対し、首相は「国民の食の安全を大前提に、科学的な知見に基づき対応したい」と述べ、関係閣僚で協議する考えを示した。
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