兵庫県の1人あたり県民所得が、5年ぶりにプラスとなった。
とはいえ、これは2004年度の全国平均にも届いていない。
内容も、企業所得増加が4.4%であるのに対して、雇用者の賃金は1.2%にとどまっている。
多数者である労働者の所得を引き上げる力が、非常に弱いということである。
県民所得、5年ぶりプラスに 05年度兵庫県(神戸新聞、10月27日)
地域間の所得格差を示す指標の一つである一人当たり県民所得が、兵庫県は二〇〇五年度に前年度比2・4%増の二百七十三万千円と、五年ぶりにプラスとなったことが二十六日、県のまとめで分かった。景気回復で企業利益が増えたことに加え、賃金・給与もプラスに転じた。ただ、〇一年度以降、全国水準を下回っており、依然、〇四年度の全国平均(二百九十七万八千円)には届いていない。
一人当たり県民所得は、企業利益や賃金のほか、家計が受け取った利子や配当などの合計を人口で割って算出。地域全体の経済力を示し、東京など都市部は高く、沖縄など地方は低い傾向がある。
〇五年度の「県民経済計算」によると、景気拡大や好調な企業進出など受けて、民間企業所得が4・4%増えたのをはじめ、雇用者の賃金は1・2%増加。利子や配当の受け取りが伸びて、家計の財産所得は19・6%増と大きく膨らんだ。
兵庫はここ数年、同県民所得の低迷が続き、〇四年度は全国二十五位。全国平均を下回り、トップの東京(約四百五十六万円)は兵庫の約一・七倍に上った。企業業績の回復が遅れたことや、総人口に占める雇用者数の割合が低いことなどが要因とみられる。
〇五年度の全国順位は未発表だが、「高水準」とはいえない状況。それでも県統計課は「アジア向け輸出の好調を背景に、活発な企業の設備投資に支えられて、回復傾向を強めている」と分析している。(小林由佳)
コメント