不破哲三『古典への招待(上巻)』(新日本出版社、2008年)を読み終える。
書評を書くことに生かせるかも知れない視角のいくつかのメモ。
①マルクスとエンゲルスの1845年から62年までの研究が本書の対象だが、
その間の理論発展の速度と規模は心底すさまじい。
「天才だから」といってしまえばそれまでだが。
②科学的社会主義の確立が、まず史的唯物論の確立によっていることが
実に鮮明に現われている。
ただし、それはかなり抽象的なレベルにとどまらざるを得ないものでもあった。
そのことの意味を考えること。
③急速な理論発展は、いつでも過去の自身への批判を含む。
初期の研究の不十分さは、
後の研究により勝手に補われて読まれるべきではなく、
ありのままの通過点として読まれるべき。
④急速な理論発展の根底には、現実の改革に取り組む執念の強さ、
誤りを恐れず試論を積み重ねる実践的な探究の精神がある。
この執念と精神にこそ、深く学ぶ必要がある。
⑤「古典を歴史の中で読む」という合言葉を、
本書はマルクス等の代表的古典のすべてを取り上げて実践しようとする。
簡潔な文章の背後に
すでに重ねられた多くの研究を読み取る努力が必要。
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