日米首脳会談についての共同記者会見の内容である。
アメリカの東アジア外交およびアフリカ外交(第三次アーミテージ報告が重視した)に協力し、何事も日米同盟を基礎にすすめていく。
福田氏からの提案は、詳細の発表がゆるされなかった「拉致問題」への対応をのぞけば、基本的に以上に尽きている。
とはいえ、アメリカ外交自体が、世界構造の変化への対応と譲歩を余儀なくされており、日本の役割にも、それに準ずる変化がふくまれていくことになるのだろう。
そこの評価はもちろん是々非々。
日米首脳の共同記者会見詳報(1)(MSN産経新聞、11月17日)
【ワシントン=今堀守通】訪米中の福田康夫首相は16日午前(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談し、終了後に共同記者会見を行った。冒頭のブッシュ米大統領の発言詳細は以下の通り。
◇
ブッシュ米大統領
「総理、ホワイトハウスにようこそお越しくださいました。私は、お近づきになれるこの機会を本当に感謝しています。またこれから、昼食をご一緒させていただきます。楽しみにしています」
「これは大切な訪問です。総理に就任されてから初めての外国訪問先がこのアメリカであります。それは私たちのこの同盟関係が平和と安全に死活的に重要であることを示しています。私たち2国間の同盟関係というのは、自由と民主主義への大きなコミットメントを代弁するものです。そして総理は、その通りに今後も日米関係が安全と平和の礎となるように努力をしていきます。そして自由と安全と繁栄を、それぞれわれわれの地域で、そして世界に広めいていくというご指摘と考えています」
「世界をよりよくする方法について協議しました。また、北朝鮮と6者協議についても話し合いました。日本が6者協議に参加していることを私たちは評価しています。中国、ロシア、韓国、そしてアメリカ、日本は北朝鮮に対してすべての核兵器を廃棄するように、そして核計画や、また拡散をやめるようにと迫っています。そして6者は検証可能な成果を収めています。寧辺におけるプルトニウムの生産、これは今や無能力化されました。これは6者の監視・監督の下であります。しかし、まだなすべきことはあります。北朝鮮は全面的にすべての核開発プログラムと拡散活動に対して今年終わりには完全な申告をすると約束しています。この申告こそ北朝鮮が6者協議をこれから前進させるために必ずしなければいけないものです。そして、その末に、核兵器のない朝鮮半島を生み出していくためです」
「それから北朝鮮により拉致された日本の市民に関しても協議をしました。そして、総理には私が大統領として最も心を揺さぶられた瞬間の1つは、拉致された若いお嬢さんのお母さんが私を訪問してくださったときでした。そして、私はお母さんに言いました。また、日本の方々にまた申し上げます。私たちはこの問題は忘れることはしないと。この問題が日本の人たちにとっていかに重要なのかということは、私は理解しています。そして、私たちは日本の拉致犠牲者、そしてその家族の人たちを置き去りにすることはしません」
「また、アフガニスタンにおいて、日本は不朽の自由作戦に対して非常に重要な貢献をしてくれています。そしてまた、6年にわたり、日本の艦船は11の連合国に対して、有志連合に対して、燃料の補給をしてきました。総理、このようなリーダーシップを発揮して下さり、そしてさらにこれから日本の補給活動の再開に向けてくださるという努力に感謝いたします」
「日本の自衛隊は今もイラクにおいて、米英軍の作戦の支援をしてくれています。そして、日本の航空機は600回にわたり出撃しています。そしてたくさんの貨物を空輸してくれています。これは生まれてきた若い国、あるいは民主主義の国を助けるために、日本の方々がしてくださっていることを感謝しますし、また、ゲーツ国防長官も含めて、昼食の時に私たちの軍事問題についても協議をします。私たちの同盟関係が21世紀のチャレンジを迎え撃つことができるように、その軍事的な方策を考えていきます」
「それからイランに関しては、イランの核開発計画というのは、中東のみならず、世界に対して脅威を与えるものであることも合意いたしました。われわれはこのイランの活動行為を外交政策を通して変えていくことに努力をしていきます。イランに対する国際的な圧力、核放棄を求める努力はさらに強化していかなければなりません」
「また、ミャンマーですが、民主的な活動家に対していろいろと取り締まりをしている。アウン・サン・スー・チーさんや、そのほか政治犯の解放を私たちは求めるものです。そしてまた、政権と民主的な将来をミャンマーのために求める人たちのために真の対話を求めます。そしてアメリカは制裁を科し、また、日本もいろいろな援助をキャンセルしたとおっしゃっています。そしてまた、この援助を再開するとしても、ミャンマーの国民が直接受益するようにしたいとおっしゃっています」
「それからまた、経済問題も話し合いました。日本における経済改革に関して。それからドーハラウンドに関しても協議を、お昼をご一緒しながらも協議したいと思います。そして、そのランチはよいアメリカの牛肉を総理にはきょう、食べていただきたいと思います。この牛肉の問題をまた、ここで話し合うこともできるでしょう。すべてのアメリカの牛肉、そして、牛肉製品に対して、国際的なガイドラインにのっとって日本の市場が全面的に開放されることを私たちは望んでいます」
「それから気候変動とエネルギー安全保障の問題に関しても協議しました。私たち、本当に先進国、発展途上国も将来の気候変動やエネルギー安全保障の枠組みにぜひとも取り組んでいきたいと考えております。私たちの国、私たちの経済がいろいろな、新たな技術を開発しています。そして環境をよりよく管理していくのです」
「それから、次のG8サミットですけれども、私も出席するのを楽しみにしています。非常によいディスカッションをもつことができました。お食事をいただきながらもそれを続けたいと思います。アメリカにようこそお越しくださいました。そして友情に感謝します」
日米首脳の共同記者会見詳報(2)完 (MSN産経新聞、11月17日)
福田康夫首相
「私はわが国唯一の同盟国である米国を訪問した。そしてただ今ブッシュ大統領と充実した会談をした。この後の大統領との意見交換も楽しみにしているが、ご機会をいただいたので朝のやり取りを踏まえつつ、若干意見を申し上げたいと思う」
「まず第1に、日米同盟は両国がグローバルな諸課題に対処していく上で不可欠な役割を果たしており、両国がアジア外交を展開する上でも極めて重要な基礎となっているということをブッシュ大統領と認識を一致した。日米は半世紀以上にわたってときには困難なときに共に乗り越えて、今や強靭(きょうじん)な同盟関係を築いているが、今日われわれがこうした関係を享受しているのは日米両国の数え切れないほど多くの市民の努力と交流によって支えられているということだ。日米の現在の強固な関係を当然視するだけでなく、将来の日米関係を支える基盤をさらに強化したいと考え、私から知的交流を含む日米交流を強化するイニシアチブを説明申し上げた。これに対し、ブッシュ大統領から心からの支持の表明があった」
「第2に、日米同盟と日米、それぞれのアジア政策との間の共鳴、シナジーの問題だ。自分から強固な日米同盟はアジアに平和と繁栄の基盤をもたらすこと、また日米同盟をよりどころにしてアジア諸国との関係を一層深化させ、安定的で開かれた、繁栄し発展するアジアを実現するということは日米共通の利益につながることであるということ、こうした積極的なアジア外交はひるがえって日米同盟のさらなる強化につながるという確信をもった旨申し上げた。自分はこの会議の後、シンガポールで開催される一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席するが、その前にワシントンを訪問してブッシュ大統領と協議したのは、こうした考えに基づくものだ。ブッシュ大統領から賛同を得て、誠に心強く感じている」
「次に日米が共同して対処すべき課題として、北朝鮮およびテロとの戦いについて話し合いをしました。北朝鮮の核兵器につきましては、6者協議を通じて北朝鮮の核兵器、核計画の完全な放棄を実現させるべく、日米が引き続き緊密に連携して努力していくことで一致をいたしました」
「特に拉致問題については、ブッシュ大統領から、この問題を決して忘れることのない、ということを述べていただいた上で、日本国政府に対する変わらぬ支持を確約をしてくださるということを改めて表明されました」
「アフガニスタンを再びテロの温床としてはならない、テロとの戦い日米が両国でもって、またその両国と国際社会がともに引き続いて取り組んでいくことで、これも一致いたしました」
「自分からは、海上自衛隊によるインド洋での補給活動の早期再開に向けて、法案の早期成立に全力を尽くす旨、ブッシュ大統領に伝え、ブッシュ大統領からも、これからのわが国の国際社会のテロとの戦いに対する支援への感謝、そして補給活動の再開への期待の表明がございました」
「ミャンマー情勢につきましては、自分からミャンマーの民主化、人権状況の改善に向けて強く働き掛けている旨、説明をいたしました」
「それから、イランにつきましては、核開発は容認はできない、しかし引き続き国際社会が一致して圧力を高めながらイランが国連安保理決議を順守するよう働き掛けていくことで一致をいたしました」
「この激動の時代において、わが国としては、日米同盟を礎として、アジアそして国際社会の直面する問題に一層積極的にリーダーシップを発揮して対処していく考えであります」
「引き続いて、この後、ブッシュ大統領と昼食を交えながら、いくつかの重要な課題について意見交換をいたします。きたる2008年、わが国は極めて重要な国際会議を2つ主催いたします。1つは7月のG8、北海道洞爺湖サミットでございまして、重要なテーマは気候変動であります。この問題については、過去半年ほど日米は緊密に協議をし、世界の議論をリードしてまいりました。国連での新たな交渉の場で、実効性ある将来枠組みの構築に向けて具体的な成果を得られるよう、地球温暖化対策で緊密に連携していくことにつき、大統領と話し合いたいと考えております。その際、経済成長を維持しつつ、地球温暖化対策とエネルギー安全保障を両立させる科学技術についても有意義な議論ができるのではないかと期待をいたしております。景気気候変動を含め、G8サミットの成功に向け、日米で協調してまいりたいと思います」
「もう1つ、国際社会全体で取り組むべき課題として、アフリカ開発支援がございます。わが国が主催する2つ目の重要な国際会議でございますけれども、これは5月に開かれます。第4回アフリカ開発会議、Tokyo International Conference on Africa’s Development、TICAD4でございます。ここで得られた知見、そして成果をG8サミットに捧げるべく日米が協力して取り組んでまいりたいと思っております」
「またアフリカを中心とする保健状況を改善すべく、国際保健分野での日米協力を進めたいとも思っております。さらに世界経済が多くの課題に直面している中で、日米が世界に安心ある繁栄をもたらすよう、途上国の持続的発展に向けた協力や知的財産権の保護を含め、経済分野における世界規模での日米の協力関係を強化したいと考えております。またWTOドーハラウンド交渉の早期妥結を一致して目指したいと考えております」
「以上、私が申し上げました。最後に牛肉の話がございました。この牛肉につきましては、日本政府として国民の食の安全を大前提に科学的な知見に基づいて対応していくということであります」
「まあ、会談の途中ではありますけれども、この場をお借りしまして、ブッシュ大統領を含めて米国のみなさまの温かいもてなしにあらかじめ感謝を申し上げたいと思います。今後ともブッシュ大統領と手に手を携えて、われわれが直面する諸課題にともに対処していくことを楽しみにいたしております。Thank you very much」
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