インドとアメリカの原子力協定が、再び、発効の方向に動きだした。
左翼4党の譲歩の背後には、ロシアとの原子力共同開発の動き、つまりこの問題での協力相手をアメリカに限定しないという政府の動きがあるのではないのだろうか。
インドとアメリカとの防衛協力の動きにも注意がいるのか。
インドがIAEAと交渉へ、米との協定発効へ前進(読売新聞、11月16日)
【ニューデリー=永田和男】インドのムカジー外相は16日、米国との民生用原子力協力協定発効の前提となる国際原子力機関(IAEA)との保障措置(査察)協定の交渉を始めると発表した。
交渉は、連立与党に閣外協力する左翼4政党の反対で棚上げされていたが、4党は同日、調印前に再度協議することを条件にIAEAとの交渉開始を認めた。これで、大幅遅れが懸念された米印協定は発効に向け前進することになった。
核拡散防止条約(NPT)未加盟のインドへの原子力協力を可能にする米印協定発効には、インドがIAEAと査察協定を結んだ後、米議会と原子力供給国グループ(45か国)の承認が必要。左翼4党は、最初のハードルである対IAEA交渉入りについて「進めれば閣外協力取り下げも辞さない」として抵抗。シン首相は10月15日にブッシュ米大統領に電話で交渉棚上げを伝えていた。
4党が16日の連立与党との協議で一転、交渉開始を認めたことについて、左派共産党幹部は「有権者に柔軟さをアピールするため」と述べ、解散・総選挙が来年中にもあると見られる中、左翼が米印協定をつぶしにかかっているとの印象を与え続けるのは賢明でないからだと説明した。
IAEAとの交渉自体は数週間で済むと見られるが、印米両政府は、米議会の日程などもにらみ、年内にも終えたい意向だ。
ただ、左翼各党幹部は、反米の立場から、「対米協定に反対する原則は変わらない」と強調。12月中に行われる連立与党との次回協議でIAEA交渉にも厳しい注文を付ける構え。
レイセオン、インド5者と防衛装備で提携(日経新聞、11月16日)
バンガロール(ダウ・ジョーンズ)米防衛・航空大手レイセオン(NYSE:RTN)は、防衛装備製造や情報技術(IT)サービスなどのインド企業5社と防衛協力契約を結んだ。16日付のインド紙エコノミック・タイムズが、同社の国際戦略・事業開発担当副社長のウェス・モトゥーカ氏の話として報じた。
同副社長は同紙に対し、「ここ数日間でラーセン・アンド・トウブロ(L&T、500510.BY)、ウィプロ(NYSE:WIT)(507685.BY)、バーラト・エレクトロニクス、ゴドレジ&ボイス、データ・パターンズ・インディアの5社と覚書を交わした」と述べている。
インドの防衛調達規定は、「海外企業が防衛装備を30億ルピーを超えてインドの軍隊に供給する際は、その契約の30%近くに相当する金額を同国の防衛・航空産業に再投資しなければならない」と定めている。
この投資には合弁による装備の製造、修理や保守施設の設立など、さまざまな形態が含まれる。一部のケースでは、海外企業がインドのパートナー企業を選定し、技術移転することも含まれる。
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