6月8日,夕方5時,西宮アクタの東館で「第二次不二越強制連行・強制労働訴訟」を支援されているIさんと会う。
不二越というのは,富山に本社のある工作機械メーカーの名前である。
「『ハルモニからの宿題』を偶然本屋で見つけて,こんな近くにこんな取り組みをしている人がいたのかと思って」と,連絡をいただいたのがきっかけである。
初めてお会いするが,親しく7時半まで話し込む。
朝鮮人強制労働の実態,裁判闘争の様子,「慰安婦」問題とのかかわり。
老いた原告が亡くなっていく悔しさ。
最近の韓国の選挙結果,日本の市民運動の役割,改憲の動きなど。
話題は自由にとびまわる。
事前にながめていたホームページには「ナチ不二越」の文字があった。
気になったので「ナチ」の意味を聞いてみる。
「ナチスのことではないのです」。
「かつての天皇のお召し艦『那智』の名を,不二越自身がNACHIの名でつかっているのです」。
「大阪博覧会に出した製品を,天皇がほめたというのがきっかけです」。
なるほど,聞いて見るものである。
同社の「会社概況」から「沿革」へ,「1925年~」へとすすむと,たしかに巡洋艦「那智」の姿がある。
『「慰安婦」と出会った女子大生たち』をお渡しし,『不二越強制連行未払い賃金訴訟・報告集』をいただいてお別れする。
遠からず,またお会いすることもあるのだろう。
原告は,不二越からは,2000年7月11日に最高裁で「勝利和解」を勝ち取っている。
いまの第二次訴訟は,日本の国家責任を視野にふくめた訴訟である。
今日の日本の司法に,この手の問題での期待はしづらいが,しかし,がんばってほしい取り組みである。
いただいた『報告集』をながめて見ると,末尾の資料に「北日本新聞」1992年9月4日付が載せられている。
内容は,不二越で強制労働をさせられ,そこを逃亡した後,松代(長野県)大本営ちかくの「慰安所」に移送された朝鮮人女性がいるとのもの。
「責任者を処罰せよ」を描いた姜徳景ハルモニのことである。
なるほど,両者にはこのようなつながりもあるわけだ。
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