「十一月の知事選に向けた野党五党と政治団体『そうぞう』の候補者人選会議が解消されたことを受け、共産党県委(赤嶺政賢委員長)は二日、常任委員会を開き、元県出納長の山内徳信氏(71)の支持をあらためて表明、『そうぞう』を除く五党との共闘による擁立を目指す方針を決めた」。
「赤嶺委員長は『新基地建設反対の思いを結実させる選挙。実績や信念、県民世論の動向、人選の経過を踏まえ、山内さんがベストな候補者。各党に理解を広げていきたい』 と述べた。山内氏の単独擁立の可能性については『団結することが勝利の条件。五党が推薦した経緯もあり、共産単独で闘うようなことにはならないと思う』と共闘重視を強調した」。
「民主党県連の喜納昌吉代表が『山内氏の擁立はしない』と発言していることに、赤嶺委員長は『民主も山内氏を推薦し、実績を高く評価した。じっくり議論すれば再び共闘の基本姿勢に戻ってきてくれる』と説明」。
なるほど,一度は「五党が推薦した経緯」というものがあったのか。となると,民主等が山内氏のほかへと候補者を転換していったその理由はなんだったのだろう。
民主党沖縄県連のブログを見ると,6者協の運営に不満があったようで,また山内氏は評価するがその支援者が横暴だとも書いている。だが,候補者(山内氏)自身が評価できるとするならば,仮に「横暴」といわれるような問題があったとしても,その解決を候補者の変更に求めることは適切だろうか。
もう一歩踏み込んだ理由の説明を求めたくなる。
ことは在日米軍基地の75%が集中する自治体の首長が,新基地建設・米軍基地増強に賛成するのか,反対するのか,その立場を決する大問題である。誰にも,大局を見た判断が求められて当然である。
「その上で、『そうぞう』との共闘については『「そうぞう」が擁立を目指す下地幹郎氏(45)の政策は『五党で確認した基本方針に反する。下地氏に固執する勢力との協議は、同じ議論を繰り返すだけで県民も望んでいない』と否定的な見解を示した」。
「社民党県連(照屋寛徳委員長)も同日、執行委員会を開き、知事選の人選で協議した」。「社民、社大党、民主党県連の三党を基軸に候補者選考に着手し、共産党県委、自由連合沖縄、『そうぞう』に対しても共闘構築で理解を求める考えを確認した。週明けにも社大、民主に考え方を説明するという」。
社民党は6者協の全体をまとめたいとする立場にあるということらしい。
「新里米吉書記長は具体的な候補者について、『党内議論で決めた山内氏を提起するが、固執はしない。あらたな枠組みの協議で、統一候補擁立を目指す』と述べた」。
そうすると「あらたな枠組み」をつくるうえでの政策的一致点が問題となる。新基地建設反対の基本点をあいまいにしない形で,新たな「統一候補」の人選が可能であるのかどうか。
共同の「枠組み」を優先して政策で妥協するのか,政策の筋をとおして共同の「枠組み」をひろげていくのか。少ない残り時間を考えると,この点での決断も重要になる。
「社大、民主、『そうぞう』と連合沖縄の代表者は二日午後、那覇市内で非公式に協議した」。「各代表は『連携を強化し、政党・団体との共闘で統一候補擁立を目指す』との考えを確認した」。「同協議に先立ち、社民党県連の照屋寛徳委員長と民主党県連の喜納昌吉代表も那覇市内で会談し、『連携して候補者を擁立する方向を目指すこと』で一致した」。
一方,基地建設推進の与党側は,すでに県商工会議所連合会の仲井真弘多氏への支持・支援の訴えを開始している。仲井氏は旧通産省出身で,経済振興を前面に立てた選挙戦に取り組む気配をすでに示している。
新基地建設反対とともに,経済振興も重要な争点とならずにおれないのであり,そうなれば独自の経済振興策の提起も必要となる。
野党各党には,それぞれの政策基準・ケジメを県民・国民にわかりやすく開示しながらの選挙活動を期待したい。「あいまい」「密室」が一番良くない。
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