「構造改革」の内容を規定し,これを推進する力となっているのは何か。
①ゼネコン関連資本から製造業多国籍企業への財界主力の交代,②これに対応した党主導(ゼネコン関連)から官邸主導(製造業関連)への政治のあり方の転換,③アメリカ企業の対日参入自由化要求と国内多国籍企業との基本線での利害の一致。
税収増がゼネコン関連に投じられることを,さかん政府は抑止している。
もっともこれを社会保障や教育に投ずることを否定する点では,財界のどの勢力についても意見は一致しているようだが。
「安倍首相、諮問会議で国債発行の大幅削減を指示」(朝日新聞,11月25日)
「[東京 24日 ロイター] 24日の経済財政諮問会議では、安倍晋三政権下で初となる2007年度予算編成の基本方針などが議論され、景気回復に伴って税の大幅な自然増収が見込まれるなか、安倍首相は07年度の新規国債発行額を06年度の30兆円弱から大幅に削減するとともに、06年度補正予算は災害対策などに限定し、それ以外は国債発行削減に充当するよう指示した。また、諮問会議では、自然増収は安易な歳出に振り向けるべきではないなどの予算編成の原則が了承された。
<自然増収見込んだ安易な歳出拡大路線に釘さす>
安倍首相は、諮問会議終了後に記者団に対し、07年度予算編成に関して「(諮問会議では)国債発行額を06年度発行額よりも大幅に削減する考えを示した。歳出の削減、無駄使いの排除を厳正に、強い意志を持って進めていく」とし、経済成長と財政再建を両立させていく考えを改めて強調した。
さらに、06年度補正予算についても「災害など国民の安心、安全にかかわるものに限定し、歳出の徹底的な見直しを進めていく、削減を行っていくという原則の下に、それ以外については公債の発行残高削減に充てていきたい」と述べた。
景気回復に伴う税の自然増収に伴い、06年度の税収見通しは当初予算の45.9兆円から大幅に増額修正され、50兆円台に乗せる可能性が出ている。こうした自然増収を背景に、与党内からは安倍政権が掲げる再チャレンジ支援の前倒し計上などを求める声が出ており、大田弘子経済財政担当相によると、24日の諮問会議でも出席者から「財政再建重視は必要だが、成長戦略を部分的に前倒ししてもいいのではないか」との意見が出たという。
これに対し、大田担当相によると、諮問会議では「成長戦略は本予算の中でしっかりやるべき。自然増収は予想外のものであり、国債の償還に充てるべき」との指摘や、「財政規律を緩めると、長期金利が上昇し、経済に悪影響を及ぼすことも考えるべき」との声が出た。安倍首相の発言は、こうした指摘を踏まえ、自然増収に伴う便乗的な歳出拡大路線に釘をさしたものといえそうだ。
<諮問会議は予算編成の5原則を了承>
また、諮問会議では、伊藤隆敏東京大学大学院教授ら民間議員4人が「平成19年度(07年度)予算に向けて」と題したペーパーを提出し、税の自然増収は安易な歳出に振り向けるべきではないなどの予算編成の原則を提示し、了承された。
原則は5項目で構成されており、具体的には、1)民需主導の経済成長を目指す。景気を支えるために官で需要を積み増す政策は採らない、2)税の自然増収は安易な歳出増に振り向けず、将来の国民負担の軽減に向ける、3)経済成長と財政健全化を両立させるため、中期的な財政管理を重視する。税収の増える好況期に健全化のペースを速める一方、税収の落ち込む不況期にはペースを抑制し、柔軟に健全化に取り組む、4)新たに必要な歳出を行うときは、原則として他の経費の削減で対応する、5)国民への説明責任を徹底する――ことを求めている。
さらに、民間議員の提言は、06年度補正予算について「自然増収は国債新規発行の削減にあてるべき。官で需要を積み増す、いわゆる景気対策を行うことは、厳に慎むべき」としている。
大田担当相は、予算編成について「これらの原則を踏まえて取り組む必要がある」と述べており、今回の議論を踏まえた上で、党などと調整し、「2007年度予算編成の基本方針」を次回の諮問会議で決定する方針だ。」
最近のコメント