「対テロ戦争」のために,さらなる軍拡が必要だとするブッシュ大統領と,イラク戦争開始を在任中の「最悪の時」にあげるアナン事務総長。
世界の平和を目指す道として,どちらに道理と有効性があるかについては,すでに議論の余地がない。
これも孤立する覇権主義の悪あがきではあろうが。
イラク戦争「最悪の時」 アナン国連総長 お別れ会見で米政権非難(しんぶん赤旗,12月21日)
「【ワシントン=鎌塚由美】十二月末で退任するアナン国連事務総長は十九日、お別れ記者会見で、イラク戦争を阻止できなかったのが「最悪の時」だったと語り、「有志連合」で戦争に突き進んだブッシュ政権を重ねて批判しました。
十年間の任期中の三つの「最悪の時」を問われたアナン氏は、「もちろんイラク戦争だ」と指摘。「国家には自衛権があるが、国際社会への広義の脅威に対処するときに、行動を許可する正当性を備えているのは安全保障理事会だけだ」と強調。安保理を無視して攻撃に踏み切ったブッシュ政権を改めて非難しました。
イラク戦争の教訓をどう考えるかについては、開戦に加わった国、加わらなかった国、戦争を支持した国、承認を与えなかった安保理の「みなが教訓を持っている」と語りました。現在は、立場の違いをこえ「イラクを安定させる道を見つけ出すことが重要である」と強調しました。
アナン氏はそのほかの「最悪の時」として、イラク・バグダッドの国連事務所の爆破で同僚を失ったこと、対イラク人道支援事業「石油と食料計画」を巡るスキャンダルをあげました。
成果については、「人権、貧困・格差の解消、エイズ」への取り組みをあげました。
アナン氏は国連のあり方にふれ、「国連を強化するのではなく、破壊または弱体化しようとする人々に対しては、国連がなければ、国境を越える問題にどう対処するのか、貧者、弱者、声なき人々のために誰が声を上げ立ち上がるのか、と言いたい」と述べました」。
陸軍・海兵隊増強を 米大統領 「イラク増派は未定」 米紙に語る(しんぶん赤旗,12月21日)
「【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領は十九日、ワシントン・ポストとのインタビューで、陸軍と海兵隊の定員を増やす必要があるとの考えを表明しました。ゲーツ国防長官に具体化を検討するよう指示したことも明らかにしました。
ただイラクに駐留する米軍部隊を増派するかどうかについては「まだ決断していない。もうしばらく時間がかかる。ゲーツ長官が(イラク)現地に行き、戻ってきたところで協議する必要がある」と述べました。
定員増についてブッシュ氏は、「対テロ戦争」という「イデオロギー戦争はしばらく続き、その努力を維持し、平和樹立の一助となる能力のある軍隊が必要だというのが正確な見方だ」と説明しました。
陸軍と海兵隊の定員増を求める声は、二〇〇八会計年度予算編成の議論で、軍関係者や議会などから上がっていました。
陸軍のシューメーカー参謀総長は先週、議会に対し、現在の交替体制の負担で陸軍はだめになると警告しました。陸軍は現在、イラク・アフガニスタン戦争に対応するため、臨時に五十一万二千人に増やした定員の恒久化を求めています。
下院軍事委員会の共和党議員二十三人は今月初めに報告をまとめ、陸軍に旅団戦闘群八個、海兵隊に歩兵大隊十個を増やすほか、海軍と空軍の増強も提案しています。
こうした兵力増強要求の背景には、イラク占領の長期化で派兵部隊のやりくりがつかなくなっていることがあります。
ラムズフェルド前国防長官のもとで、ブッシュ政権は即応性と機動性に重点を置いた軍の改革に着手。そのもとでイラク戦争に踏み切ったものの、たちまち行き詰まり、イラク派遣部隊の駐留期間延長や交替の多重化だけではもはや対応できなくなったものです。」
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