「改革」推進によってつくられた「影」の部分だが、安倍首相は「改革」を継続しながら、その「影」に「配慮」するという。
経済政策の方向を変えれば、影はなくなるわけだが、その知恵はないらしい。
医療を含む社会保障関連を2200億円も抑制しながら、一体どこが「配慮」だろう。
結局、経済財政諮問会議は「官邸主導」の名の「財界主導」で、日本経団連等の求めを認めているばかり。
他方、自民党内からは、地方での公共事業を求める声があがっているが、あいかわらず公共事業の内容(質)を語る動きはない。
病院や介護・保育施設をつくるのも公共事業なんだよ、その手の小規模事業は雇用の効率が高いんだよ、地域の人達の生活改善効果が高いんだよ。
何十年もこんなことを言い続けねばならない、そのこと自体が情けない。
とはいえ、その声を大きくする他、方向転換への道は開けないのである。
来年度予算の概算要求基準、一般歳出上限は47・3兆円に(読売新聞、8月8日)
財務省は8日、2008年度予算の大枠を定める概算要求基準で一般歳出の上限を47・3兆円程度とする方針を固めた。
高齢者の増加に伴う社会保障関連費の自然増があるため、07年度当初予算(46兆9800億円)より約3000億円多く、昨年の概算要求基準(46・8兆円)と比べても約5000億円程度増え、2年ぶりに47兆円台となる。
財務省は、08年度予算編成も厳しい歳出削減の姿勢で臨む。概算要求基準で、公共事業費を前年度当初予算に比べて3%減らす方針を維持するほか、7000億円台と見込まれる年金、医療費など社会保障関連費の自然増を制度改革などで2200億円に抑えるよう求める。
政府は8日夕に与党との政策懇談会で概算要求基準について協議し、9日の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)を経て、10日に閣議了解する方針だ。ただ、参院選で惨敗した与党内には公共事業費の削減などに根強い反発があり、年末に向けた予算編成は難航も予想される。
公共事業3%減、諮問会議が決定・08年度予算全体像(日経新聞、8月7日)
経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は7日、公共事業や地方単独投資事業の前年度比3%削減を盛り込んだ2008年度予算の全体像を正式決定した。高齢化によって伸びが予想される社会保障費は、国の一般会計ベースで2200億円、国と地方合わせて3200億円程度を抑制する。政府は全体像を踏まえた概算要求基準を10日の閣議で了解する予定。
全体像は「改革を遂行するという新たな決意の下、その影の部分にも配慮する」と指摘。歳出・歳入一体改革を盛り込んだ骨太方針06に沿って「引き続き最大限の削減を行う」とした。
個別分野では、社会保障の年金管理で新たに必要となる費用について「追加的な国民負担が生じないよう対応する」と明記した。また公務員人件費は「5年間で5.7%以上の定員純減」を行い「国・地方を合わせ5000億円強を上回る削減を行う」方針を示した。(21:57)
諮問会議が予算全体像とりまとめ、早くも歳出拡大圧力(朝日新聞、8月7日)
[東京 7日 ロイター] 経済財政諮問会議は7日夕に会合を開き、2008年度予算の全体像をとりまとめた。これを受け、財務省は10日の閣議了解に向けて概算要求基準を策定するが、早くも自民党内からは公共事業の3%削減などに異論が出ており、年末までの予算編成作業では紆余曲折も予想される。
予算の全体像では、「歳出全般にわたって最大限の削減を行う」と徹底した歳出削減努力の継続を強調する一方で、「地方や国民各層に経済成長の成果が行き渡るよう、一層のメリハリをつける」と格差への配慮もにじませた。
具体的には、公共投資について名目対前年度比3%の削減を明記。社会保障は、国の一般会計ベースで2200億円(国・地方を合わせて3200億円程度)の抑制を行い、公務員人件費は国・地方を合わせて5000億円を上回る削減を行うなどとしている。
これを受け、会議に出席した尾身幸次財務相は、概算要求基準について「早急に具体的内容を調整したい。全体としては、07年度と同様の基準にしたい」と発言。10日の閣議了解に向けて最終調整に入る考えを示した。
ただ、7日朝に開かれた自民党の政調全体会議では、こうした予算編成方針に異論が続出。公共事業費3%削減について「諮問会議の意見は、国民の意識とは違うのではないか」、「参院選での大敗は、疲弊している地方の助けて欲しいというメッセージであり、認められない」といった批判が相次いだ。与党の参院選大敗を背景に、今後の予算編成作業において歳出拡大圧力が強まる展開も予想される。
全体像では、税制改革について、諮問会議や政府・与党税調などを中心に本格的な議論を行い、「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」ことを確認。さらに、社会保障や少子化対策などを念頭に、「複数の選択肢を明らかにしつつ歳出・歳入両面から検討を進める」とし、「その際、基礎年金の国庫負担割合引き上げ分を含む社会保障の安定財源や、2010年代半ばに向けた財政健全化について考慮する」と2011年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化達成以降の財政健全化も視野に入れている。
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