福田新総裁の改憲記録。
親子ともに71歳での総裁だが、中身はほとんど民主党と話し合うという点に終始している。
福田新総裁の会見詳細1 「自民党生まれ変わらねば」(朝日新聞、9月23日)
福田康夫・自民党新総裁の記者会見の詳細は以下の通り(原則として発言通り)。
「本日、私は自民党の第22代目の総裁に就任しました。時局のなかなか、厳しい中での総裁就任であります。気を引き締めて、これから自由民主党の再生、そして国民の信頼を勝ち得ながら、政策の強力な実行をする、そういう政党になりたい、ということを考えております。皆々様のご支援をよろしくお願いします」
――総裁選で得た得票数をどう評価するか、政権を担う抱負は。
「得票数を皆様方、どう思われましたか。当初は、派閥の数合わせと、言われたが、結果を見れば、そうでなかったというのが証明されたのではないか。私は当初から申し上げていた。派閥の数で計算して結果が出るという考え方には賛成できない。今の政治の情勢、国民の意識を考えると、昔のような派閥一致団結ということにはならないと思っていた。選挙は、やってみないとわからない部分もある。そういう傾向は昨今だんだん強くなっている。当初の予定通りには行かないと思っていた」
「自民党は先般の参院選で大敗を喫しました。その原因が何かと考えた場合に、国民の信頼を勝ち得ていないということが明確になった。いろいろな原因がある。その一つひとつを申し上げてもしょうがない。特に年金の問題について、本当に大きなご迷惑を、政治というか、政府も信用できないのかという思いを国民に与えた。非常に大きな問題だと思う。この問題については、担当する官庁も責任があるが、それを監督する立場にある政治家の責任も大きいと思う。特に、長年にわたり政権を支えてきた与党・自民党の責任は大きいと思う。責任を痛感して、自民党は生まれ変わらなければいけないという覚悟を持ってやる必要がある。国民の信頼をぜひ勝ち取る。そのためには、着実に一つひとつを積み上げていくしかないんですね。急によくなったとかいうことはあり得ない。着実に誠実に国民の皆様の、期待にこたえられるように積み上げていくことに尽きる。多少時間かかるかもしれないが、なるべく早く回復できるように努力していきたい」
――閣僚、役員人事の基本方針は。麻生氏の処遇は。
「まだ、結果が出て、その後、いろいろな行事があって、人事のことについて深く考えているわけではない。しかし、今申し上げたような、自由民主党として、非常に困難な状況にあるということを考えれば、全員の方々に政治参加していただく、そして、全員が協力し合うという体制をつくっていくことが大事だと思っている。そういうことを考えて人事配置をしていく」
――海上自衛隊の給油活動継続のためのテロ新法提出の取り組みは。民主党への働きかけはどうすすめていくのか。
「テロ新法ということでございます。私、まだ、そういう立場にないものですから、的確におこたえすることはできない。一般論として、わが国の政府与党がしかるべきメッセージを国際社会に発信しているということは大事。その方法がどういうことなのか。延長なのか、新法なのか、それが具体的には、その立場になってから考えたい。ただ、一つ申し上げるべきことは、テロ新法もそうだが、今、困難な問題はたくさんあるんですね。年金の問題、社会保障全般についてもそうだ。いろいろな重要な課題がある。そういう時期に、参議院の第一党である、参議院の実権を握っている民主党との話し合いは欠くことはできないと思っている。今後、民主党との協議をしたい、という気持ちを持っている。テロ特措法についてもそういう考え方を民主党が理解してくださるように、とは思っている」
――民主党に党首会談を早急に申し入れる考えは。公明党との関係をどのように修復するのか。
「民主党に対してどうするかは、民主党の考えもあるでしょう。私どもは協議を希望している。そこをご理解いただきたい。民主党でもそうですよ。国民のための政治をする。国家の利益を考えて政治、政策を立案しているわけですから、私どもと考え方は基本的に同じなんです。どういう案が一番いいのかということを、互いに模索する、協議によって案をまとめていく、努力をすべきではないのか、と私どもは思っている。民主党に私どもの考えを理解していただき、応じていただきたいと思っています」
「公明党との関係ですが、これは、公明党と政策問題について協議を致します。政治と金の問題についても、協議をして、双方、不満のないようにするのが我々の務めです」
――消費税はいつ、どれくらい上げるのか。道路特定財源を一般財源化しないというのを国民にどう訴えるのか。
「今年6月の政府の基本方針では参院選後に、消費税を含む税全般について議論しようと、こういうことになっている。これからその議論をすることになる。その議論をしたい。ただ、消費税を上げなくて済むようなことになればいいですよ。それは。一番いいんですけどね。しかし、そういうことによって、たとえば、必要なものが削られることになって、国民生活に影響を与えることになるのであれば、財源も消費税も上げないで頑張っているということで、果たしていいのか、ということもありますからね。そのへんについては、これから、今年の法人税がどうなっていくか精査した上で、判断したらいいと思います。長期的なことについては大きな問題だから、それも、民主党と協議するテーマだと思います。そういうことも議論していったらいいと思う」
「道路特定財源は、ガソリン税ですからね。ガソリン消費をしている人に還元すべきだという考え方でずっときてたわけですよ。それを一般財源化するということについては、抵抗があるというのが今までの議論だった。その考え方を変えるかどうか。あまりガソリン税、揮発油税と関係ない分野に広げていいのか、ということはもう少し議論を詰めたほうがいい。しかし、ガソリンを消費することによって環境の問題につながっているということであれば、環境分野については使ってもいいんじゃないかなという理屈は立つわけですよ。理屈はね。だけど、その理屈で済むのかということを含めて、もう少し議論するべきだと思う。よく議論を整理するべき段階だと思う」
――テロ新法の今国会での成立を目指す上で、会期延長も考えられるが。5000万件の該当者不明の年金記録問題についての政府方針に変わりはないか。
「テロの新法か延長かという問題について、会期を延長するとだいぶ時間がなくなる。会期延長は国会審議上可能かどうかという恐れが出てきた。もし11月1日までにそれが決まらないと、止まっちゃうわけですね。わが国としてテロ法に基づく洋上活動を続けるのかどうかと、いうことを外国から見ると、やめちゃったのかと思われる可能性がありますね。それがいいのかどうか。日本の政府の意思もやめてもいいんだということで理解されてしまう。そう思われてしまうことがあれば、損得だが、国際社会は、日本はもうやめてしまった、いつ復活するか分からない(と思う)、そういうことになってしまっては、私は日本の姿勢として好ましくないんじゃないかと思っている」
「新法であれば、11月1日に成立していなくても、議論している限りは、続くんだと、そういう可能性がでてきた。新法は国際社会に対して、日本は継続する意思があると表明する形になる。意味があると思っている。国際社会にメッセージを送り続けていないと、日本は活動から抜けたんだと誤解を受ける。そういうことがないようにというのが我々の思いである。活動は給油だけで意味がないじゃないかとはいうものの、多くの国が利用しているわけですよ。その恩恵に浴している。そういう国々は感謝をしていると思いますよ。いろいろな国から感謝の表明があったと聞いている。やめれば、ほかの地域からどこかの国が給油艦を用意しなければならない。延長ができなくて、新法だと、意思は表明したけれど、ある期間、活動ができないとき、その間、どうするかということは、これからよく各国と相談していかなければならない。そうは思うが、また復活するということであれば、国際理解は得られやすいんじゃないかと思います」
「5000万件については、私もどういう形で審査が行われているか、見通しはどうかということについて、よく承知しておりません。担当大臣から、そういう立場になった時に良く聞いて、判断するべき問題だと思っております。しかし、約束をいったんしたからには、約束を守る努力は当然するべきですね。全力を挙げるべきだと思っている」 (会見詳細2に続く)
福田新総裁の会見詳細2 「変なことをしない安心感か」(朝日新聞、9月23日)
(会見詳細1の続き)
――総裁選で党員投票をした所では、麻生氏に後れをとっているが。
「私は数字も見ていないんですよ。見ている暇がない。ですから分析する余裕もない。自民党というのは、結構バランス感覚があるんですね。いつもこういう選挙すると、思わざる結果が出る。皆さん方に問いたいが、なんでああいう予想するんですか。もう少し状況判断をした上で、正確なる予想をしていただきたい」
――新総裁に選ばれた要因をどう分析するか。
「正直申しまして、いきなり飛び出して、これだけの支持をいただいた。ありがたく思っています。十分な分析をしているわけではないが、皆さんからおっしゃっていただくのは、少しは安定感があるんじゃないかということですね。年をとっているから、あまり変なことをせんだろうという安定感かもしれない。それ以上のことは私も分からない。むしろ、あなたに教えてもらいたい」
――基礎年金部分を全額税方式にすべきだと経団連会長が考えを示したが、どう思うか。この問題で民主党と協議するのか。
「こういう基本的な問題、特に国民生活に関係あるものは、これに限りませんが、民主党と協議するテーマだと思いますよ。憲法もそうでしょう。3分の2というのがあるので、与党だけでは代表しきれない。民主党の協力をえなければならない。国民生活に密着するものについては、できるだけ多く賛同を得て、実現していくことが大事じゃないかと思います。基礎年金の税方式、考え方の問題もあるし、どちらが安心できるかという問題ですからね。ご提案はご提案として検討すべき対象だと思います」
――参議院でのねじれた状態が3年続く。党内に大連立という意見もあるが。
「ヨーロッパなんかにそういうのがありますが、それぞれの国の事情、政治体制、選挙制度もありますからね。しかし、こういう風に国会で必ず対立して、法案がなかなかできない。それも国民生活に直結するような法案がなかなか成立しないというようなことがあれば、まさに国民にご迷惑をかけることですから、そういうことにならないように我々は心がけていかねばならない。その思いは民主党さんも同じだと思います。協議させていただきたいというのは、そういう意味合いでしてね、それ以外のことはないんでして。これからいろんな形の連携はあるかもしれませんが、話し合いをすることは意義のあることだと思います」
――群馬県から4人目の自民党総裁、首相になる。先輩3人の評価は。
「群馬県で戦後4人目なんですよね。まあ3人で終わりかな、と思っていましたよ。はからずもと申しますか、今回私がそういう立場、総裁になりました。なんていいますか、光栄といえば光栄かもしれない、それだけ責任も重いな、という思いでおります。3人の方々、それぞれ時代に適合した政治をされてきた。それぞれに立派な業績を残された。私もそれに続くことができるかどうか、ということでしてね、これからの問題であります」
――国会中なので、大きな人事の入れ替えは難しいと町村外相が述べたが。また、派閥推薦は受けつけるのか。
「町村外相は、以前からそういう日程があって、外相会議なので代理はきかないということがあって。自民党の総裁選のために外相会談に行かないというのは、国益を損ねることだという観点から、無理して行かれた。ですから今日の総裁選にも欠席された。何をお話しになっているか分かりませんが、小幅かどうかという話ですか。そういう点はこれから考えていきます」
「派閥の意向を聞くかどうか。これは、ここしばらくそういうことはしていませんね。昔の派閥と、今の派閥は違うんです。区別するために、みな様方にも、昔は派閥、今は政策グループと言っていただく方が正確かと思う。ご協力をよろしくお願いしたいと思います」
「それから全員参加というのは、まさに全員参加ですよ、私も含めて全員参加です。何か役職につかなければ参加じゃないというのは間違いですよ。みんなが自民党の現状を理解し、そして、もう後ろがないんだという思いを持ってですね、心を合わせて政治を進めていくのが全員参加ですね。それをみな様方に求めたいと思います」
――自民党総裁で親子2代というのは初めて。71歳という年齢も同じだが。
「特別考えているわけではないが、日本で親子2代というのは、実は初めてですかね。アメリカ大統領ではいらっしゃいますよ。日本でそういうことがあるということについて、私は正直言って、自分自身がかつてそういうことはしたくないと思っていました。実はね。ですから、そういうことも含めて、昨年は総裁選挙には立候補しないと判断したわけでありまして。今年もそうならなければいけなかったかもしれないが、そんなことを考えている暇がなかった。というのが実情でございます。こういうような自民党の窮状の中で、私が何かやれることはないのかと自問自答いたしました。その結果、今こういうことになってしまった、ということでございます」
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