2年目も搭乗者は需要予測に見たず、空港島の企業向け売却も2%、開港による雇用創出も見込みを下回る。
さらに5月からスカイマークの便数が減る。
09年度から造成費の返済を土地売却などによって開始せねばならないが、それは実に見込み薄。
神戸市はこれを別の金で立て替えて、売却土地の割引を検討中。
結局、安くなった土地を買うのは進出企業で、そのツケをまわされるのは税金を払うものということである。
順風?それとも逆風? 神戸空港開港2年(神戸新聞、2月11日)
神戸空港は十六日、開港から二年を迎える。二年目の搭乗者は約二百九十七万人と需要予測の三百十九万人には届かなかったが、一年目を二十七万人上回った。また、開港の波及効果もあり、ポートアイランド2期にはこれまでに医療関連の百十五社が進出を決めている。一方で、空港島の企業向け分譲用地の売却は全体の2%と低迷、開港による雇用創出も見込みを大きく下回っている。
■搭乗者増え、企業進出 路線再編
一年目の搭乗者は約二百七十万人。航空各社は二年目に入り、不採算路線廃止の一方で、札幌など人気路線に便を集約。利用実績に即した機材の小型化なども行った。
市街地から近いという使い勝手の良さも浸透しつつある。市が昨年七月に行った利用者アンケートでは、全体の六割をリピーターが占めた。
そんな中、スカイマーク(SKY)が四月から、神戸-羽田を現在の七往復から五往復に減らす。「七月以降は未定」とするが、二年目の利用実績から試算すると、三カ月で約六万二千人、一年間で約二十五万人の搭乗者減となる。着陸料も三カ月で千二百万-二千五百万円の減となる。
一方、神戸開港は関西の航空需要を掘り起こしたといえそうだ。神戸と関西国際、大阪空港の競合五路線(札幌、仙台、羽田、鹿児島、那覇)でみると、神戸開港前の二〇〇五年(三-十二月)の搭乗者は千三百二十三万人で、〇六年(同)は千四百三十四万人、〇七年(同)は千四百四十九万人と増加を続ける。
■土地売れず、雇用低迷 売却は2%
空港島に八二・六ヘクタールある企業向け分譲用地。この二年でレンタカー会社(〇・三ヘクタール)と結婚式場運営会社(一・一七ヘクタール)が進出しただけで、売却面積は全体のわずか2%にとどまる。航空技術専門学校の進出計画(約二ヘクタール)も進んでいるが、これを加えても4%だ。
大きな足かせは、土地利用計画。埋め立てる際、「小型固定翼機駐機施設」「総合物流施設」など細かい利用計画を国に提出して許可を得ており、完成から十年以内の変更には国との協議が必要な上、必ず認められるわけではない。
また、「一平方メートル当たり二十七万円という価格が高いと敬遠されてきた」(市空港事業室)。このため、工事のコスト削減で浮いた財源をもとに〇七年度から三年限定で、定期借地や最大半額となる優遇策を導入。現在、数社から相談が寄せられているという。
市は造成費など約二千億円の借金の返済を土地の売却代金で賄う計画で、返済は〇九年度から。「土地売却が進まない場合、一時的に新都市整備事業会計などで肩代わりする」という。
土地売却の遅れは雇用創出にも影響。空港関連では〇六、〇七年度で各四百人を見込んだものの、〇六年度は百九十八人、〇七年度は昨年九月末までの半年間で六十三人にとどまっている。
コメント