1)15名全員出席。テキスト第2章「モラトリアムを活用する場としての大学」を読んでいく。報告は前半が伊藤さん,後半が石原さん。テキストの要約に加えて「話し合いたいこと」というテーマをそれぞれ文章にまとめたレジュメを配布。1人15分ほどで報告してもらう。「発言者のみが出席者」という方式だが,一度話し始めると発言はどんどん続いていく。「自分の大学生活の見通し」がテーマであるだけに,不安も期待も,発言はしやすいようである。
2)中高までの自分をリセットして,新しく自分をつくりかえるチャンスというテキストの議論については「18年かけてつくられた自分があるからリセットは無理」との意見がつづく。しかし,やはり新しいことをやって,自分を豊かにしたいとの希望はあるとのこと。とくに「リセットは無理」の部分は「性格」ということだが,さて4年間で実際にはどう変わっていくのだろうか。いずれにせよ「子ども」から「大人」への過渡をすすむほかない。
3)モラトリアムの活用として強調されていることの1つがアルバイト経験。これには前向きな評価があれこれ出てくる。①やっみて,はたらくことの大変さがわかった,②お金をかせぐことの大変さがわかった,③「正しい言葉」が教えてもらえるなど。「いままでは買ってもらうのがあたりまえ,おごってもらうのがあたりまえだったけど,1時間はたらいて800円しかもらえないとは……」と。所得水準の高さが反映しているところもある。
4)関連して,話は,①1人くらしでお金の管理を始めて,あらためて知った節約の大切さ,②定年までに両親にある程度の貯金が必要で,それには早く子どもが自立する必要があるという親子関係の問題,③日本のサラリーマンの平均年収が480万円程度で,若い人なら大卒でも200万円台などと,多少は社会情報もまぜこみながら,話は自然にひろがっていく。
5)やってみたいことはいくつもあるけれど,「これ」という焦点がさだまらないとの声がである。ホテルにつとめたい,航空関係につとめたいなどの希望も,その先に何を期待してのことかはまだ見えていない。就職は大人社会への「入り口」に立つことで,肝心なことはその先である。「どういう生き方をするか」「40才の私」を考えるなどの作業には,どうしても人生経験のある人の話を聞くことが必要になる。バイト先や家族など年代の離れた人と「人生を語る」ネットワークをもつことが大切。「手話」をつうじて人と人との架け橋になるという「生き方」の紹介もあり,みんなの視野を広げるきっかけとなる。次回は第3章へ予定どおりに進んでいく。
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