旅行で情報がとんでしまった。
以下は,3月3日の「高松」での講演の参考にまとめていったもの。
①安倍首相は06年秋の国会で,政府としての「河野談話」の継承を確認した。
②しかし,この3月1日に「強制性を裏付ける証拠がなかった」と発言。
③直接のきっかけは「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」からの要請。
④その背後にあるのは,米下院での「慰安婦」決議の動きへの危機感。
⑤日本政府はアメリカ政府と議会へのはたらきかけを繰り返している。
ロビイストとしてのトーマス・ウォーリー氏の雇用,
「ホーガン&ハートソン」事務所との契約,
首相補佐官・世耕弘成氏の2月19日から22日までの対米派遣など。
⑥安倍氏側近たちも同様の姿勢。
下村官房副長官「可決されないよう働きかけをしていく」(2月28日)。
塩崎官房長官「政府と大使館などを通じて米国議会に抗議している」(3月1日)。
⑦しかし,安倍発言へのワシントン・ポストの反論は良くできている。
92年発見の資料と「矛盾」している,
「過去の政府の謝罪に疑問を呈するもの」,
「韓国や中国をいら立たせることは確実」。
⑧ネグロポンテ米国務副長官も,今のところ中立的な立場を語っている。
「日本と関係国とのあいだでの解決を望む」。
「東アジア地域は重要な問題に直面しており,その前進を阻んではならない」。
⑨その背景に,世界構造の変化に対するアメリカの新たな戦略がある。
⑩日本政府の見通しは貧弱で,早くも右往左往の発言がでている。
塩崎官房長官「河野談話を受け継いでいくのが政府の立場」
政府筋,戦地に「迷惑をかけないため」。
以上,全体として安倍首相をふくむ「慰安婦」問題否定派の孤立はすすむ過程にある。
もちろん内外の取り組みは必要だが。
従軍慰安婦問題に対する日本政府の謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話に関連して、政府筋は、記者団に対し「戦場になっている地域に迷惑をかけないために従軍慰安婦を連れて行ったという視点からもみてもらえないかと思う」と述べました。 (3月3日 1時6分)
健全な関係構築に役立たず=安倍首相の従軍慰安婦発言-韓国外相(中日新聞,3月2日)
【ワシントン2日時事】訪米中の韓国の宋旻淳外交通商相は2日、安倍晋三首相が第二次大戦中の従軍慰安婦問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実だ」と述べたことについて、「より健全かつ未来志向的な韓国と日本の関係構築を目指して共同努力を行っていく上で、有益でない」と批判した。ワシントン市内で講演後、質問に答えた。韓国閣僚が安倍首相の発言に関して論評したのは初めて。
合意順守なければ進展なし 北朝鮮制裁解除で米副長官(東京新聞,3月2日)
来日中のネグロポンテ米国務副長官は2日、都内の米国大使館で記者会見し、米政府が北朝鮮に対する制裁やテロ支援国家指定を解除する可能性について「われわれはすぐに動くとは言っていない。北朝鮮が先の6カ国協議合意を順守しなければ大幅な進展は望めない」と述べ、北朝鮮側の一層の譲歩が必要との認識を表明した。
副長官は北朝鮮が否定している高濃縮ウランによる核開発計画について「北朝鮮が過去に持っていたことは確信しているが、それを継続しているかどうかについては、それより弱い確信しか持てない」と述べた。
日本人拉致問題については「日本の懸念には十分留意している。北朝鮮は日本の要求を聞かなければならない」と言明、日本政府と足並みをそろえる姿勢を強調した。
米下院に提出されている太平洋戦争中の従軍慰安婦問題に関する決議案については「日本と関係国との間での解決を望む。東アジア地域は重要な問題に直面しており、その前進を阻んではならない」と、中立の立場を貫く考えを示した。(共同)
日本の謝罪要求-米の従軍慰安婦決議案 可決阻止へ政府躍起(北海道新聞,3月2日)
米下院が審議中の、従軍慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案をめぐり、政府・自民党内で可決阻止に向けた活動が活発化している。一部議員は、決議案の根拠とされる河野洋平官房長官談話の修正を近く政府に申し入れるが、就任前は河野談話に否定的だった安倍晋三首相の本音を代弁したいとの思惑も透けて見える。(東京政経部 小倉敦)
決議案は、従軍慰安婦問題で日本政府に明確な形で歴史的責任を認めるよう求め、首相の公式な謝罪を要求。慰安婦問題を「日本政府による強制的売春」「二十世紀最大の人身売買」と非難している。
これに対して下村博文官房副長官は二月二十八日のCS番組収録で「デタラメな内容で、政府としても可決されないよう働きかけをしていく」と表明。世耕弘成首相補佐官は二月下旬に訪米し、政府関係者らに決議案の問題点を訴えた。
同様の決議案は過去にも提出されたが、今回はこれまでより可決の可能性が高いとされ、政府の危機感も強まっている。このため政府の対応には、決議で対日批判が強まり、四月下旬に予定されている首相訪米への影響を避ける狙いもある。
一方、自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)は、決議案を「河野談話のあいまいさが誤解を招いた結果」として、首相官邸に談話の修正を求める方針。
一日の同会の慰安婦問題小委員会では最終的な結論には至らなかったが、これは会合で「修正ではなく撤回させるべきだ」「あいまいな修正ではダメだ」との強硬論が噴出したのが原因。中山会長は会合後「短期的には河野談話が誤解を招かないよう官邸に求め、長期的には史実に基づいた調査を求める」と述べた。同会は来週中に官邸に申し入れるほか、近く米国にメンバーを派遣し下院関係者を説得する考え。
首相は昨年十月の国会答弁で、河野談話の踏襲を表明している。ただ一日夜の記者団の質問には、踏襲には言及せず「かつての定義である(連行の)強制性を裏付けるものはなかったのは事実だ」と軍の直接関与が立証できていない点を強調、議連への配慮をみせた。
こうした首相の姿勢を議連側は「首相は自由に議論してほしいと言っている」(森派若手)と歓迎するが、政府内には「向こうは一生懸命、対日非難の火をつけようとしている。騒げば向こうの思うつぼだ」(外務省幹部)と、過熱する自民党内タカ派勢力への懸念も出ている。
慰安婦:世耕補佐官、「決議案」採択阻止に向け訪米 (朝鮮日報,3月2日)
日本政府は米国下院で審議中の従軍慰安婦問題をめぐる対日非難決議案の採択を阻止するために、総力戦を繰り広げている、と産経新聞が1日付で報じた。
日本政府は世耕弘成首相補佐官を先月19日から22日まで米国に急きょ派遣し、現地の学者や報道人などを対象に「決議案が可決される場合、4月末に予定されている安倍晋三首相の訪米に大きな影響が出かねない」との意向を伝えるなど、全面的なロビー活動に乗り出した、と同紙は伝えた。
これについて、塩崎恭久官房長官は同日、「歴史的事実に基づいていない部分がかなりあるため、政府としては大使館などを通じて米国議会に抗議している」と話した。
一方、自民党内の右派運動団体「日本の未来と歴史教育を考える議員の会」は1日、日本政府に対し、従軍慰安婦の強制連行問題などに対する調査を要求することにした。
東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員
慰安婦問題で摩擦を懸念=「強制の証拠ない」の安倍発言-米紙(時事通信,3月2日)
【ワシントン2日時事】2日付の米紙ワシントン・ポストは、安倍晋三首相が第2次世界大戦中の従軍慰安婦問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と発言したことについて東京発の通信社電を大きく掲載、「アジアの近隣国との緊張緩和を危うくしている」と強い懸念を示した。
記事は首相発言に関し、旧日本軍が慰安婦の徴用で直接的役割を果たしたとする1992年発見の史料と「矛盾する」と指摘。また、「過去の政府の謝罪に疑問を呈するものだ」とし、「戦時中の残虐行為への十分な償いをしていないと主張している韓国や中国をいら立たせることは確実だ」と論評している。
従軍慰安婦「強制の証拠ない」=河野談話の見直し否定せず-安倍首相(時事通信,3月1日)
安倍晋三首相は1日夜、従軍慰安婦問題を謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話について「当初定義されていた強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実だ」と述べ、旧日本軍が従軍慰安婦を強制的に集めて管理した証拠はないとの認識を示した。また、談話見直しの必要性に関しては「定義が大きく変わったことを前提に考えなければならない」と語り、否定しなかった。首相官邸で記者団の質問に答えた。
ただ、この発言について首相周辺は「国会で答弁した通りのことを言っただけで、これまでの政府方針と何も変わっていない」と指摘、同談話の見直しを表明したものではないと強調。塩崎恭久官房長官も同日の記者会見で「談話を受け継いでいくのが政府の立場だ」と語った。
軍の慰安婦強制連行なかった…自民有志が見解表明要求(読売,3月1日)
いわゆる従軍慰安婦問題に関する1993年の河野洋平官房長官談話の見直しを求める自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長=中山成彬・元文部科学相)の提言案が28日、判明した。
政府に対し、「本人の意思に反する業者の強制連行はあったかもしれないが、軍や官憲による強制連行はなかった」との見解の表明を求めている。1日に正式決定し、首相官邸に申し入れる。
元慰安婦への「お詫(わ)びと反省」を表明した河野談話は、旧日本軍や官憲の強制連行を認めたような記述となっている。提言案は「根拠は元慰安婦からの聞き取り調査だけで、証拠資料は見つかっていない」と指摘している。
また、「従軍慰安婦」の呼称から「従軍」の削除を提唱。安倍首相が河野談話の「継承」を表明したため、談話の抜本的な書き換え要求は見送った。
慰安婦問題を巡り、米下院に提出された対日非難決議案に関連し、「河野談話は日本のイメージを失墜させ、事実誤認や悪意に満ちた日本批判を招いている」として、日本政府の反論も訴えている。
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