竹内薫『闘う物理学者!』(日本実業出版社、2007年)を読み終える。
副題に「天才たちの華麗なる喧嘩」とある。
著名な「天才」同士で、また国家とのあいだで「喧嘩」をせずにおれなかった「物理学者」たちの人生を描き、理論を紹介する。
「実在論」と「実証論」の対立といった哲学史上の大問題が、いまも引き続き議論の的になっていることがわかる。
素人目には、実証論がいう実在の不確定性も、ミクロの世界における実在のあり方を示すものであり、実在を否定するものではないように見える。
また量子論については、ボーム(ボーアとは別人)のいう、粒子としての量子がきちんとした経路をたどっていても、波としての量子に翻弄されることで第三者には確率的にしかとらえられない運動になるというのがわかりやすい。
もちろん、わかりやすさが真実の前にひれ伏さねばならないのが科学であるが。
ガリレオとローマ法王との「喧嘩」の内実、アメリカの赤狩りとボーム、ノーベル賞の実像、マリー・キュリーの人柄などもおもしろい。
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