アメリカによる「アフリカ軍」の設置だが、テロ対策と資源獲得がねらいだという。
こうやって、すべてを力で解決しようとする政策自体が時代遅れであるわけだが、そこからの脱却でアメリカはいつも二の足を踏んでいる。
米「アフリカ軍」新設、中国の資源外交などに対抗(読売新聞、10月8日)
【ワシントン=宮崎健雄】米軍は1日付で、新たな統合軍「アフリカ軍」を設置し、運用を始めた。
アフリカ地域はこれまで、3区域に分けて中央、欧州、太平洋の各軍で管轄してきたが、再編成した。背景には、アフリカで活発化するテロ組織や資源外交を繰り広げる中国への対抗など、アフリカ戦略の強化がある。
「アフリカの諸問題解決の一助になれると信じる」
新設されたアフリカ軍のワード司令官は3日、記者団に対し、直接的な武力行使よりも、現地の治安部隊の訓練や経済・人道援助などのサポート役に徹する組織だと強調した。米軍は現在、アフリカではジブチに基地を置いているが、新たな基地は設置しないという。司令部は当面、欧州軍と同じドイツに置くものの、来年中にアフリカに移転させ、人員も現在の120人から800人に増員する。
同軍設置の狙いの一つはテロ対策。「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ東部は対テロ戦争の最前線で、米軍は今年1月、国際テロ組織アル・カーイダのメンバーを狙ってソマリアを攻撃。エリトリアへのテロ支援国指定も検討中だ。
イラクの外国人テロリストの4人に1人がアフリカ出身との推計もあり、現地政府の治安能力を向上させることで、テロ組織の温床を根絶させる戦略が不可欠と判断した。
石油や天然ガス、レアメタル(希少金属)などの豊富な天然資源の確保も同軍設置の狙いだ。米国は不安定な中東のリスクを分散するため、ギニア湾周辺産油国への依存度を強め、全原油輸入量に占める割合を現在の20%前後から、2015年には25%に高めようとしている。
一方、中国は胡錦濤国家主席らがアフリカ諸国を歴訪。米国が人権問題で非難するスーダンやジンバブエでも資源の囲い込みを続け、この面で米国の脅威となっている。紛争や治安の悪い地域で活動が制限されていた企業、援助関係者を支援し、権益確保を加速させたい考えだ。
ただ、米国の思惑とは裏腹に、アフリカ軍は地元から歓迎されていない。「内政干渉」「新帝国主義」との批判も出ており、現在、司令部受け入れを公式に表明しているのはリベリアだけ。ナイジェリアや南アフリカは受け入れ拒否の姿勢を示しており、出だしからつまずいた形だ。
米ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上級研究員は「米国が司令部設置に難航するうちに、中国はより良好な関係を築くだろう」と警告している。
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