以下は、新日本婦人の会「新婦人しんぶん」2011年3月17日、第2882号、第5面に掲載されたものです。
少しだけ校正が抜けたところがありましたので、ここでは補足しておきます。
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第12回 私の研究とみなさんへの期待
早いもので今回が最終回です。ジェンダー論の視角からするこのミニ自分史的連載は、私にも、とても楽しいものでした。女子大に赴任してからの16年には、それなりの前進もあったのだと、勝手に自己満足をしておきます。
いまはマルクスと資本主義
「今後はどのような研究を?」というご質問がありましたが、先のことはあまり決めていません。時々の社会改革の重要課題に身を寄せていくのが方針ですから、そこは社会まかせといってもいいでしょう。
その中で、いま時間をさいているのは、マルクスをわかりやすく伝える仕事と、資本主義の現代的な発展のとらえ方を考えることです。
マルクスについては、同じ大学の同僚であり先輩でもある内田樹先生との『若者よ、マルクスを読もう』(若マル)のパート2、パート3を出していきます。
また、この3月には私個人の『マルクスのかじり方』(マルかじり)も、新日本出版社から出します。初めてマルクスを読む女子大生とのにぎやかな『資本論』学習の様子も入れてみました。
現代資本主義論については、まだこれといった形が見えてはいません。
いまはレーニンの経済理論の再評価に苦闘していますが、全体としては人間の発達と社会の発達の結びつきを重視し、ジェンダーや家族の視角も盛り込んだものを、遠くにぼんやり構想しているといった段階です。
若い先輩から後輩へ
最後に紹介したい文献は、石川康宏ゼミナール『輝いてはたらきたいアナタへ』(冬弓舎、2009年)です。これは学生たちが、ゼミの卒業生に行なったインタビューを柱とするものです。
労働条件が悪い職場から転職した、やりたい仕事にこだわった、勤めをやめて「居酒屋」の経営者になったなど、短い期間にも「生きる道」を求めて精力的に生きる若い女性たちの物語です。
授業のテキストとしても使っていますが、後輩学生にはよい刺激になっているようです。
しめくくりとして、新婦人のみなさんへの期待をひとこと述べておきます。ボールペンを片手に、本を開き、社会について勉強する時間を、毎日の生活の中に必ず組み入れてください。
みなさん一人一人の知的な充実が、よりよい日本づくりのスピードを速める最も確実な力となっていきますから。
1年間のご愛読、ありがとうございました。また、どこかでお会いしましょう。
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