総理の靖国参拝を日中関係発展の「障害」と述べた,先日の経済同友会提言を受け,遺族会にもあらたな変化が見られるようす。
「〈靖国神社〉『分祀も検討の対象』古賀誠・遺族会会長提唱へ」。
日商山口会頭が提言を評価し,他方,提言をポスト小泉問題での財界による「福田支持」と受け取っての政治家内部の動きもある。
アジアの経済成長と,財界やアメリカをふくめた内外の批判を前に,「日本の伝統を金で売るのか」といった右からの「強気」発言は,すでに存在基盤を失いつつある。
また,「小泉・ブッシュ後の日米同盟,日中韓の歴史認識がカギ」は,この問題に対するアメリカ内部の認識の分岐を,次のように紹介している。
「小泉・ブッシュ後の日米同盟,日中韓の歴史認識がカギ
【ニューヨーク=大塚隆一】米ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長を昨年末まで務めたマイケル・グリーン氏は12日、ニューヨークの日本クラブで講演し、小泉首相、ブッシュ大統領が退任後の日米同盟について、楽観的な展望を示しながらも、中国、韓国との歴史認識問題が影を落とす恐れがあると警告した。
日本語で講演したグリーン氏によると、日中韓の歴史問題については米国内でも意見が割れている。具体的には、<1>靖国参拝も支持する強硬な反中右派<2>日本に中国、韓国との関係改善を望みつつも、米国の介入は事態を複雑にするとして控えるブッシュ政権<3>基本的に親日だが、日本の役割が重要だからこそ米国が介入すべきだとする民主党右派<4>日本に批判的で、日米安保を強化すると米国もアジアで孤立すると主張する民主党左派やニューヨーク・タイムズ紙の論説委員会――などに分裂しているという。
<靖国神社>「分祀も検討の対象」古賀誠・遺族会会長提唱へ
日本遺族会会長を務める自民党の古賀誠元幹事長は、9月の党総裁選に向けた丹羽・古賀派の政策提言で、靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯について「分祀も検討の対象」との文言を盛り込むよう提案する。靖国問題を総裁選の対立軸に浮上させる狙いがあるとみられる。ただ、分祀には遺族会でも賛否が分かれているため、反発が出ることも予想される。
15日にも共同代表を務める丹羽・古賀派の議員に、自らの提言を配布する予定。同派が6月にまとめる政策提言のたたき台にしたい考えだ。
古賀氏は今年4月、超党派議員で靖国神社を参拝した後の記者会見で「常にお参りする時は心の中で(A級戦犯を)分祀している」と発言したが遺族会への配慮もあり、表立って分祀を求めたことはこれまでなかった。今回、あえて分祀を提起する狙いについて、同派内には「小泉純一郎首相の姿勢と一線を画し、総裁選で存在感を示すためだろう」(中堅議員)との受け止め方がある。
靖国神社を巡っては、民主党の小沢一郎代表がA級戦犯の合祀について「間違いだった。事実上(合祀状態を)なくせばいい」と主張。これに対し、「ポスト小泉」候補の安倍晋三官房長官は「強引な考え方だ」、麻生太郎外相も「せんえつではないか」と批判。谷垣禎一財務相は賛否を明言しておらず、福田康夫元官房長官は分祀論に言及していない。【野口武則】 (毎日新聞) - 5月13日22時22分更新
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